山口県上関町で原発建設計画を進める中国電力は10日午前、敷地造成に向けた海面埋め立ての準備作業に入った。建設地の北約20キロの田名埠頭(ふとう)(山口県平生町)から、灯浮標(ブイ)を建設地沖に運ぶ作業を予定していたが、埠頭岸壁の手前などに反対派の漁船が並び、運搬用の台船が近づけない状態が続いている。
ブイの設置は工事海域を示し、航行する船に注意を促すため。中電は午前7時半ごろから、仮置き地の田名埠頭から台船で運び、クレーンで海面に浮かべる予定だった。
これに対し、計画に反対する上関町祝島の漁船約30隻が、5〜3隻ずつロープで船同士を結ぶなどして岸壁手前に停泊。ブイの積み込みはできないでいる。中電は退去を呼び掛けているが、応じていない。
立ち入り禁止の田名埠頭の手前には「原発に反対する上関町民の会」や反対派の市民団体のメンバーたち約60人が集結。「原発絶対反対」などと書いた横断幕を掲げ、抗議活動を続けている。海上では徳山海上保安部の巡視船艇が警備に当たっている。
上関原発の建設地は約33ヘクタールで、このうち約14ヘクタールを埋め立てる。陸域について、中電は今年4月に造成工事に入った。海域については、近海で見つかった国の天然記念物カンムリウミスズメの生息調査の結果、埋め立ての影響は少ないと判断し、この日の着手を決めていた。
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【写真説明】ブイ運搬用の台船(奥)を阻むため、岸壁手前に停泊する漁船=10日午前8時15分、山口県平生町の田名埠頭(撮影・室井靖司)
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