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【金曜討論】消費税率の引き上げ 榊原英資氏、石弘光氏 (1/3ページ)
増税なしに今の医療や介護サービスは維持できるのか−。今回の選挙戦では、各党が早くから財源をめぐり火花を散らしてきた。現実には、新規施策どころか、日本の税収はそもそも一般歳出の半分程度しかなく、急速な高齢化で社会保障費は年に1兆円ずつ膨らんでいるからだ。「国債はまだ発行できる」とする早稲田大学の榊原英資教授と、「増税は現世代の責任」と説く放送大学の石弘光学長に聞いた。(佐藤好美)
≪榊原英資氏≫
■国債発行は有力な財源
千兆円までは問題ない
−−選挙で財源論が活発だ
「財源論はナンセンスだと思う。みんな財源にとらわれすぎている。日本は今、一般会計歳出の4割が国債の発行でまかなわれている。それなのに、財源の話になると、増税か歳出減かの二者択一になる。なぜ、国債発行を財源の選択肢に入れないのか。今、日本の国債と地方債は合計で800兆円。日本人の貯蓄残高は総額1500兆円だから、日本全体で見れば借金はない。国債は有力な財源だ。子供手当も、高速道路の無料化も、暫定税率をゼロにするのも、国債を発行すればいい。国債の長期金利は今、1・45%で決して高くない。これから20兆、30兆円を追加発行しても、10年債で2%は超えないだろう。日本には国債を追加発行する余力がある。だから『財源がないから、新たな施策ができない』とか『ばらまきだ』とかいうのは間違っている。もちろん、1500兆とか2000兆とか、どんどん増えたら問題だが、1000兆円程度まで行っても、そこで止まれば問題ない」
−−膨らむ社会保障費はどうするか
「医療は診療報酬も薬価も国が決める社会主義制度。しかし、技術は急速に進展し、高度医療が進んでいる。今のままでは滅茶苦茶な赤字になる。だから、最低限の医療は公的保険でカバーし、市場原理を導入する。ある程度以上は自費か民間保険で払う形にしないと、日本の医療は崩壊する。事実、外科や産婦人科は崩壊しかかっている。セーフティーネットを維持しながら、市場原理が効くようにすることが重要だ。お金のある人には払ってもらい、そうでない人は保険でみる」