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【国際】

独、駐留是非 争点に  アフガン空爆 要請が判明

2009年9月10日 朝刊

 【ベルリン=弓削雅人】アフガニスタン北部クンドゥズ州で市民を含む多くの犠牲者を出した国際治安支援部隊(ISAF)による燃料輸送車空爆が、ドイツ軍の要請によるものだったことが判明、独メルケル政権に対し国内外から批判が強まっている。左派党など野党は、アフガン政策を今月末に迫った総選挙の争点にする構えで追及を強めている。

 空爆はドイツ軍司令官の要請で米軍機が実施。反政府武装勢力タリバンが奪った燃料輸送車で独軍駐屯地への攻撃を計画していた、との情報があったためという。これに対し、米紙ワシントン・ポストは、空爆要請は「複数の情報に基づくべきだ」とした北大西洋条約機構(NATO)軍の指令に違反した疑いがあると報じた。

 独政府は空爆の犠牲者を五十人程度としているが、人権団体などは百三十五人に上ると指摘している。

 多くの市民が巻き添えになったことに、他のISAF参加国からも批判が続出。英国のミリバンド、フランスのクシュネル両外相は、徹底した原因究明を求めた。

 メルケル首相は八日、連邦議会(下院)で市民の犠牲に遺憾を表明し、調査を約束。一方でアフガンからの早期撤退を否定した。

 大連立を組む社会民主党(SPD)では、シュタインマイヤー外相が駐留の必要性で首相と足並みをそろえたが、シュレーダー前首相が撤退時期明記を求めるなど、政策見直しの声も出始めている。

 SPD左派や旧東独政権党の流れをくむ左派党は八日、ベルリンでデモを開催、派兵がタリバンの反撃を助長しているとし、早期撤退を迫った。

 ISAF傘下でドイツはアフガンに約四千二百人を派兵、民間復興を支援している。独メディアの世論調査では、約七割が早期撤退を求めている。

 

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