温室効果ガス「25%削減」民主党内からも異論
民主党の鳩山由紀夫代表が、「2020(平成32)年までに温室効果ガス排出量を1990年比25%(05年比30%)削減する」との政権公約(マニフェスト)を国連で国際公約として表明しようと意欲をみせていることに対し、産業界だけでなく党内からも異論の声があがり始めた。国内経済への大打撃が懸念される一方で、利害が錯綜(さくそう)する国際交渉で足かせとなる可能性もあるためで、鳩山代表への風当たりは強まりつつある。
「今、(90年比25%削減を)ぶちあげてもしらけた目で見られるだけ」
ある民主党議員はこう話す。05年比13〜14%削減の目標を掲げる欧州連合(EU)、米国と比べて著しく高いうえ、国内経済への影響も大きく実現が極めて難しい。「積極姿勢をアピールするのにとどめるべきだ」。
民主党内には産業界や労組出身の議員も少なくなく、鳩山代表周辺に思いとどまるよう働きかける動きもあり、霞が関の官僚たちは民主党議員に「どうにかならないか、と泣きついてくる」という。
官僚を泣かせているのは、温暖化対策を取りまとめた岡田克也幹事長の「相当な強硬姿勢」(経済官庁幹部)。党内では「岡田幹事長をかたくなにしたのは官僚だ」との見方があるほどだ。
政府は、90年比25%削減を実現するためには次世代型エコカー、断熱住宅などの普及に今後10年間で190兆円を投じ、産業活動を抑制し鉄鋼や化学品などの生産量を減らすことが必要で、家計も可処分所得の減少などで年36万円の負担増となる、と試算している。
こうした試算を岡田幹事長は、国民に対する「脅し」と決めつける。これを受け鳩山代表は90年比25%削減の目標について「私たちの考え方の基礎的なもの。大きく変えるつもりはない」と強調。国連気候変動サミットなどが開かれる9月下旬の会議で主張する構えで、内容の検討を進めている。
ただ、日本経団連など財界もあらゆるルートで90年比25%削減を表明しないよう働きかけていく方針で、官僚も説得の糸口を探すのに躍起。鳩山代表の外交デビューまで、奔走が続きそうだ。
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「90年比25%」を堅持=鳩山代表 9月7日(月) 14時03分 (時事通信) |
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