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  インタビュー<日曜日のヒーロー>
 過去のインタビューは、日刊スポーツ紙面(東京本社発行分)でもご覧になれます。
 ご希望の方は→紙面バックナンバー申し込み
 なお、WEB上では、紙面より1週間遅れでの公開となります。
第472回    京極夏彦  
2005.07.10付紙面より

京極夏彦
写真=部屋に入ると、京極さんは茶色の着物に黒革の手袋を身につけていた。この独特のスタイルが、独特の世界を醸し出すのだろう。取材が始まると、京極さんペースで話が進み、時には話題から脱線して豊かな表情を見せてくれた。すっかり、「京極ワールド」に引き込まれた
(撮影・神戸崇利)

世界を幻惑し続ける言葉の妖怪

 夏といえば怪異の季節。そこで、当代きっての「言葉の妖怪」を紹介しよう。直木賞作家の京極夏彦さん(42)。「原稿を送って3日で出版が決まった」という衝撃的デビューから11年、主に妖怪をテーマに古今東西、森羅万象に及ぶ知識をぎっしり詰め込んだ膨大な超重量級作品群で読者を圧倒し、世を幻惑し続けている。約1時間15分のインタビューでも約1時間13分は1人で話しっぱなし。めくるめく京極ワールドをどうぞ。


あくなき興味

  泉のように、奔流のように、言葉がつきることなくあふれ、流れる。「であって」「しかし」など接続詞でどんどんつむぎ、話はりょう原の火のごとく広がっていく。まさに博覧強記。1時間13分の話を文字にすると、実に2万字を超えた。この新聞で6ページも埋まる。多弁の人でも、普通はこの半分程度だ。膨大な言葉に込められたものは、集約すれば本と言葉への限りない愛情とこだわり、ひいては言葉が介在するあらゆるものへのあくなき興味だった。物心ついた時から本好きで、小学生で柳田国男全集を読んだ。今、蔵書は2万冊を超える。

  「みんな『本が高い』って言っていましたが、高くて当然だと思ってたんです。こんなにおもしろいのに、何を文句言うんだろうって。『書いて、ハイ、出しました』というものではないはずでしょう。何人かの編集者なりの目を通って、おもしろいから出そうということになるわけで。ありがたく読むわけです。おもしろいはずなんです。読めば読むほどおもしろくなるんです。おもしろくなるまで何百回も読みます」。


日本が好きだ

 デビューから11年、妖怪にこだわってきた。その妖怪に出会ったのも本だった。漫画家水木しげる氏の描く日本の風景をみて「懐かしい」と感じたことがきっかけだったという。

 「日本が好きなんですよ。文化が。僕たちはなんだかんだ言って、おじぎするし、はしで飯を食うし、畳の上で寝る。僕はそれが好きなんですね。日本文化を一番端的に表しているのが、妖怪的なものです。蜃気楼(しんきろう)から人面犬までひっくるめて、妖怪という概念は日本独自のものなんです。あらゆるものがキャラクター化され、日本文化のものすごい大きなものを背景として成り立っているんです。妖怪をキーワードに日本を読み解く、見直すということは有意義なんじゃないでしょうか」。

 本から出発した好奇心という触手は、スポーツ以外のあらゆる分野に伸びた。

 「僕は自宅で見るテレビは大好きです。時代劇なんかを見るのが好きなんです。テレビもいいでしょう。映画もいいでしょう、小説もいいでしょう。我々はこんなに楽しめるものに囲まれて暮らしている。いくばくかの代金を払えば、手に入る。こんなに幸せなことはない。思うんです『作ってくれてありがとう』と」。

 「数少ない日本映画ファン」との自負もある。本と同じように、とにかく見る、そして楽しむ。

 「僕は怪獣映画も好きですから『GODZILLA FINAL WARS』にも行ったわけですよ。(小学生の)子供を『ハウルの動く城』に連れて行ったんですね。そしたら、ゴジラが初日だったんですよ。じーっと(看板を)見て、子供に『ちょっと残るから』って(笑い)。見てみて? やっぱり散々なところもある。オールドファンとして言いたいこともある。でも楽しみました。映画は一体何を見せたがってるのかを考えちゃダメ。何を見られるのかという立場で臨むと『あれが出てきておもしろかった』ってなるわけですよ。見終わった後に満足感があれば、いい映画なんですよ。間違いなく。1回見ただけでつまんないなんて、もったいないですよ」。

 あらゆるものに人並み外れて楽しませてもらっているからこそ、楽しませたい思いが強いのかもしれない。著書は手に取っただけで「京極ワールド」。枕とも弁当箱とも形容され、文庫本でも厚さ5センチ以上のものや2段組みで1000ページ近いものもある。

 「送り手側はハードを考えなくちゃいけない。映画館の居心地はないがしろにされてたけど、最近はアミューズメント化されたり良くなってきてるでしょ。そういうこともあって映画の成績もいいんでしょう。映画館の整備が第一義であることに、どうして長い間気付かなかったんだろうと思います。本だったらパッケージだったり、本屋さんの環境だったりするわけです」。


メトロン星人

 デビュー作「姑獲鳥(うぶめ)の夏」が映画化された。「何でも好きなように楽しむ」が基本だから、映画化についても口出しもしないかわりに、お墨付きも出さないという。

 「(原作の)『姑獲鳥−』は100万部超えちゃったんですけど、100万種以上の妄想があるんです。映画も妄想の1つです。原作を読んで映画を見た100人は100人が『イメージと違う』と言うでしょう。それで正しいんです。映画も実相寺(昭雄)監督の妄想の1つですから。思い入れも全くないです。原作と違う筋書きにしようが(主人公の)京極堂を女にしようが、メトロン星人にしてちゃぶ台に座らせようが、全員バルタン星人でもいいんです」。

 話は小説のことに広がっていく…。

 「小説というのは文字でしかないわけです。風景を思い浮かべて文章にするのは、ただの説明であって小説ではない。作者のイメージを読者に押し付けるような小説は、僕は最低だと思います。だから、作者は具体的なイメージを持っていない方が望ましい。小説は、書き終えた段階で読者のものです。作者の思いというのは100%読者に通じないのです。買って読んでくださった方がどう思おうと、その人の勝手だし、正しい。トリックを読み違えようが、ストーリーを読み違えようが全然問題なくて、読んでる途中、その人が面白ければいいということです。小説を完成させるのは読者なんです。作者がこういうテーマにのっとって書きました、と大上段に構えて言うのは、小説書きの風上にもおけないと思います」。

 さらに…さらに……

 「例えば『セカチューに続く号泣できる作品を書きました』といって出して、読者が抱腹絶倒して大ベストセラーになったら作者は『読み方が間違っている』と怒れるでしょうか。作者なんて、書いたとたんに死んじゃったっていいわけですよ。失礼な人は『お気に入りの作品はどれですか』『失敗作は』って聞く。そりゃどんな作品だってありますよ。でもそれを作者が言ったら、作者が失敗作だと思ってる作品を読んで喜んだ読者の立場がないんじゃないですか。映画と小説の関係になると、原作者としてのことを聞かれるけど、それは小説の読者にも映画を見てくれた人にも、失礼なことになる。僕はそこを守りたいんです」。


重なる主人公

 実は取材中に、言葉の使い方について2度指摘された。「旬の方を紹介する…」と趣旨説明しようと思ったら、さえぎられて−

 「『旬』というのは『いずれ終わる』という前提がある言葉。非常に失礼な言葉です」。

 「○○についてこだわりがありますか」と聞くと、しばらくたって別の話の合間に−

 「さっき『こだわり』とおっしゃったけれども、こだわりというのは無駄なことに執着することなんです。『あなた、これにこだわってますね』と言うのは、そのもの自体は無駄だと世間は判断しているんですよという悪口なんです」。

 己の浅学を恥じ入るばかり。その言葉を自在に操る京極さんが「言葉の妖怪」に見えてきた。そして映画「姑獲鳥−」の冒頭から約4分半もしゃべり続ける京極堂と重なってくる…。この長セリフは京極さんが書いた。さすがに長いと感じませんでしたかと聞くと−

 「いや、むしろ『意外と長くないな』って思いました。相手が黙ってたらしゃべるしかないじゃないですか。4〜5分しゃべることってあるでしょ、普通」。

 ありませんよ、普通…。

 ※結局、2万字のうち紹介できたのは3000字足らずでした。


京極夏彦

 色紙をお願いした時には既にインタビュー時間をオーバーしていたのですが、後日送ってもらうことにして快く引き受けていただきました。「手形でも押したりしてみますか」と笑っていたのが印象的でした。力強い毛筆は鋭い眼光そのままで、送られてきた色紙を見て思わず後ずさり…。後日談をもう1つ。映画「姑獲鳥の夏」のイベントで、京極氏があいさつすると、女性たちが「キャーッ! かっこいい!!」。こんな作家、ほかにはいないでしょう。



 ◆京極夏彦(きょうごく・なつひこ) 1963年(昭和38年)3月、北海道小樽市生まれ。桑沢デザイン研究所を経て広告代理店勤務、制作デザイン事務所設立後、94年に「姑獲鳥の夏」でデビュー。96年「魍魎の匣(もうりょうのはこ)」で日本推理作家協会賞受賞。97年には「嗤う伊右衛門」で泉鏡花賞、03年に「覘き小平次」で山本周五郎賞、04年には「後巷説百物語(のちのこうせつひゃくものがたり)」で直木賞を受賞した。黒い革手袋をいつもつけている。睡眠は約4時間。食べ物の好き嫌いはない。酒は飲まない。テレビ好きだがスポーツ番組は見ない。


(取材・小林千穂)

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