Brian Ashcraft


ユートリヤ・スター・ガーデンで戸田氏を撮影。Photo:Motohiko Hasui

戸田拓夫氏が作る紙飛行機は、ただの折り紙ではない。4月11日(日本時間)に同氏が飛ばした紙飛行機は世界記録を樹立しており、同氏は「紙飛行機の代名詞」となっている人物なのだ。

戸田氏が作成した先端のとがっていない紙飛行機は、広大な広島県立ふくやま産業交流館の梁(はり)の高さまで舞い上がり、飛行を記録していたカメラマンが数秒にわたって見失ったほどだ。その間も時計は動き続けていた。そして、戸田氏の手を離れてから27.9秒後、『スカイキング』という、ぴったりの名前を持つこの紙飛行機はふわりと着陸した。

これまでの世界記録より0.3秒長い飛行だった。53歳の戸田氏はキャステム[本社広島県]という会社の社長で、金属部品の受注生産を行なっている。しかし同時に、革新的な紙飛行機を作ることにも人生をささげてきた。

「4歳ごろから、優れた紙飛行機を作ることができるようになり、作り方を覚えていった」。戸田氏はこれまでに700のデザインを考案し、10冊以上の本を書いた。そして、紙飛行機の博物館まで作ってしまった。

戸田氏は今も、記録の更新に挑戦し続けている。最近の練習では、35秒の飛行を達成したという。最終的には大気圏を越えたいと、同氏は考えている。「地球に向かって宇宙から自分の飛行機を飛ばすことが夢だ」。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)はこの構想を実際に試している。熱に強い特殊な紙と、戸田氏がデザインした紙飛行機、マッハ7の風洞が用いられている。もし成功すれば、いろいろなことに応用できるだろう。例えば、……あらためて報告しようと思う。

[戸田氏が会長を勤めているおりがみヒコーキ協会は、東京大学研究者らと提携して「宇宙から紙飛行機を飛ばす」実験を提案、JAXA『宇宙オープンラボ』のひとつとして2008年3月採用された(PDF)。

2008年1月には東京大学で、耐熱性の紙を使った飛行機の極超音速風洞実験に成功。宇宙から地球に帰還し、大気圏に突入する条件に近い「マッハ7、摂氏200度」に耐えたという。また、若田飛行士は今年7月、国際宇宙ステーション内で戸田氏が協力した紙飛行機を飛ばす実験を行なった(以下の動画の10分ころから)。

9月19日には、幕張メッセで開催される『モノづくり体感スタジアム』の一部として、「室内飛行ロボットコンテスト」と共に「全日本折り紙ヒコーキ大会」も開催される。なお、原文記事には『スカイ・キング』の作成方法も掲載されている]

WIRED NEWS 原文(English)

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