民主:地方組織にも「戦略局」 政策提言強化と陳情窓口に

2009年9月6日 22時42分

 民主党政権の発足に合わせ、党の地方組織が地方版「国家戦略局」を設置しようという取り組みを始めた。地方発の政策提言力を強化するとともに、地元の課題を中央に陳情する窓口としての役割を担わせる。毎日新聞の取材に対し、北海道など四つの道・県連が「設置する」と回答、3県連が「検討したい」などと答えた。地元の利害を代表する有力国会議員をパイプ役にしてきた自民党政権下の国と地方。その関係を見直せるか。

 「設置する」と回答したのは、北海道のほか岡山、徳島、愛媛の各県連。兵庫、鳥取、熊本の各県連が「設置を検討したい」「必要性を検討したい」などと答えた。

 新政権で民主党が設置する国家戦略局は、国家ビジョンや予算編成の骨格を策定する首相直属の機関。政府と党で分かれていた自民党政権下の政策立案を一元化し、省庁縦割りの予算編成を政治主導に切り替える目的でつくられる。初代担当相には菅直人・党代表代行が内定している。民主の県連幹部らは国家戦略局による政策の方向付けが、地方にも大きな影響をもたらすとみている。

 北海道連は、地元国会議員や経済界、学識経験者らが参加する「北海道・国家戦略会議」(仮称)の設置を既に決めた。来月にも初会合を開き、自立した地域経済▽北方領土問題▽アイヌ民族との共生--などをテーマに議論し、新政権に提言する。道連幹部は「オール北海道で、地元の将来を考える場をつくる」と語った。

 徳島県連も地方版国家戦略局を設ける。国政への陳情が県内産業界などから相次ぐとみており「窓口が複数あると、口利きなどの問題も出てくる。一元化が必要」と判断した。

 岡山県連も同様の組織を設置する予定。公共事業の見直しなど、民主党の政権構想に不安を感じている市町村や地元業界団体との協議の場とし、新政権への陳情窓口としての機能も持たせる。

 愛媛県連の「地域戦略会議・愛媛」(仮称)も、農協やトラック協会など各団体の代表から課題を吸い上げる方針。

 「設置予定はない」と回答した県連からも「政権交代で交流する団体が増えたり、自治体の首長と協議する機会も増える。何らかの受け皿が必要になる」(三重)の声が上がっている。

 一方、6小選挙区で民主が全勝した新潟県では、県と地元国会議員との関係が劇的に変わろうとしている。これまで県幹部は自民党の地元国会議員に省庁との橋渡しを依頼してきた。しかし、民主県連は今後、地元国会議員が直接、県幹部から陳情を受けるのではなく、県連が組織として受け付けることにした。県連幹部は「陳情が特定の議員に集中しかねないため」と説明している。

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