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【政治】

官房機密費も民主がメス? 野党時代 使途明かさぬ政府を批判

2009年9月7日 朝刊

 政権交代の実現で、長くベールに包まれてきた内閣官房報償費に光が当たる可能性が出てきた。民主党は野党時代、使途を一切明かそうとしない政府の姿勢を批判してきた経緯があり、透明化にかじを切るという見方も広がっている。 (生島章弘)

 内閣官房報償費は内政、外交にわたって「国の事務、事業を円滑かつ効果的に遂行するため、その都度の判断で機動的に使用する経費」と定義され、「官房機密費」とも呼ばれる。二〇〇二年度以降は毎年、約十四億六千万円の予算が計上され、ほぼ全額が使い切られている。

 会計検査の対象であるが、〇四年の衆院予算委で会計検査院長(当時)は「どう使ったかを官房長官に事務的に質問し、高度に政治的なことに使われたという心証ができれば了としている」と答弁、例外的な対応を認めている。

 五五年体制下では国会対策費などとして与野党議員への贈答品や政治資金パーティー券の購入にも充てられたとされ、政府高官の私的流用疑惑が取りざたされたこともある。だが、取り扱いは事実上、官房長官の裁量に委ねられており、真相は闇の中だ。

 民主党は一貫して、政府の「秘密主義」を攻撃の的にしてきた。外務省要人外国訪問支援室長が官邸から報償費をだまし取った事件をきっかけに、〇二年の通常国会には報償費支払い記録の作成や、一定期間経過後の公表義務化を定めた「機密費流用防止法案」を提出。〇五年の政策集にも外務省改革の一環として、報償費の使途制限や、衆参両院における非公開審査の導入などを盛り込んだ。

 今回の衆院選のマニフェストに具体的な言及はないが、「税金の使い道をすべて明らかにして、国民のチェックを受ける」との記述がある。

 民主党関係者は「どのような予算でも、使い方を検証するのが基本的な立場。報償費の性格は理解しているが、ほっておくことはない」と説明し、将来的には実態が覆い隠されてきた「国家機密」に切り込む考えを示す。

 

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