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オバマ米政権、「核の傘」を民主党政権に強調へ

9月6日20時37分配信 産経新聞

 【ワシントン=古森義久】米国のオバマ政権が新しい核戦略への日本の関与拡大を求め、特に中国の核戦力に対する米国の「核の傘」の効用を日本側に強調する政策に傾き始めたことが明らかとなった。日本の民主党次期政権の非核推進の姿勢に逆行するもので、日米同盟での核の位置づけをめぐる断層の広がりも懸念される。

 核戦略に関する米国議会の超党派政策諮問機関「米国戦略体制議会委員会」(共同議長=ジェームズ・シュレシンジャー、ウィリアム・ペリー両元国防長官)は5月に総括した報告書で、米露核軍縮について米国は同盟諸国とも詳細な協議をしなければならないとした上で、日本の関与拡大の重要性を強調した。

 具体的には(1)核問題では特に日本との間でより広範な対話を確立する時期となった(2)これまで核問題の対話は日本政府の希望により限定されてきた(3)日本との核問題対話は核拡大抑止(核の傘)への信頼性を増大させる−とオバマ政権に政策上の勧告をした。

 オバマ政権はこの勧告を採用する形で、7月中旬の日本政府との日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)において、初めて「核の傘」を含む核抑止力のあり方に関する定期的な公式協議の開始を提案、日本側の同意を得た。

 同委共同議長のシュレシンジャー氏はこのほど、米大手紙ウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで、日本との核協議の意義などについて、(1)同盟国が米国の核抑止の保護に信頼を置かなくなると、独自の核抑止を求め、新たな核開発競争へ進む場合が多い(2)日本との核協議開始の勧告理由の一つも、その信頼性喪失を防ぐことにある(3)米国は日本に対し、中国の核兵器数百基のさらなる増強の脅威を提起して、「核の傘」の保護を強調すべきだ−などと述べた。

 シュレシンジャー氏はさらに、民主党の小沢一郎氏による「日本はそのつもりになれば核弾頭数千基を容易に製造できるだけのプルトニウムを保有している」という趣旨の2002年の発言を取り上げ、「米国の核の傘が核拡散防止に果たす重要な役割がよくわかる」と、日本の核武装に対する米側の懸念をも示唆した。オバマ政権の日米核協議には、日本の核開発を防ぐという趣旨も含まれている。

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最終更新:9月6日20時37分

産経新聞

 

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