総選挙を戦う幸福の科学が150億円の集金活動?
2009年8月号 [ディープ・インサイド]
幸福実現党を旗揚げした宗教法人「幸福の科学」が、総選挙を控え集金活動に躍起になっている。すべての小選挙区(300)に加えて、比例区でも45人の候補者を擁立する同党は、すでに全国各地で宣伝カーを走らせ、臨戦態勢に入っている。
小選挙区の立候補に必要な供託金は1人当たり300万円。それだけでも9億円の資金が必要だ。「地元に選挙事務所を開き、ポスターを貼って遊説するには1人当たり3千万円はかかる」(政界関係者)。さらに、同党はテレビ、新聞のマスメディアを使った宣伝にも熱心だ。ある選挙コンサルタントは「少なく見積もっても100億円。この勢いでは200億円近くかかるのではないか」と推測する。そんな軍資金がどこからわいてくるのか。信者ならずとも気になるところだ。
最近、ネット上の「教団が1選挙区につき最低10体の布教所(に置く)エル・カンターレ像と最低2名の植福菩薩を輩出せよと要請を出した」との書き込みが、教団関係者の噂を呼んでいる。「エル・カンターレ像とは教祖、大川隆法総裁の像で、一体300万円。植福菩薩とは年間1千万円の献金をした者に与えられる名誉称号のようなものです」と元信者は解説する。
事実とすれば、同党は1選挙区当たり5千万円の集金を各支部に要請したということ。300小選挙区を想定すると計150億円の集金活動を、全国規模で開始したことになる。「例の書き込みには教団内用語が使われており、巨額の献金の要請を受けた信者が反発しているのではないか」(元信者)。
もともと同教団は集金活動が盛んだ。「植福」と呼ばれる献金活動が日常的に行われており、「裕福な信者が多く、1人当たりの献金は他教団より多い」(教団ウォッチャー)。教団施設内では、全国書店で販売されている大川氏の著書に加え、家庭用の本尊や法話ビデオ、各種グッズ(ペンダント、エンブレム、額、置物など)が数万~100万円で販売されている。
さらに、各地の教団施設では100種以上もの祈願が取り行われている。大川総裁は「祈願即修行、修行即祈願」と唱えており、入信者がまず勧められるのが、この祈願だ。病気平癒、結婚成就といった一般的なものだけでなく、「社長出世祈願」「わが社株高騰祈願」「投資成功祈願」「会社再建祈願」「福徳増進祈願」「感染症予防祈願」「英会話ベラベラ祈願」「天才児養成祈願」などと現世利益につながる祈願が多い。値段は3万~30万円ほどで、例えば「東京正心館で行われる社長出世祈願は15万円~」(前出のウォッチャー)。
長年の献金、書籍・グッズ販売、祈願などの集金活動の成果で教団の金庫は潤沢になっており、「この上150億円が集まれば総選挙の軍資金の心配はいらないだろう」(同)。
先の都議選で同党候補者10人は大差で惨敗。「来たる総選挙でも全員落選の可能性が高い」と予想されるが、選挙資金に困ることはなさそうだ。
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