「幸福の科学」新政党に異変 大川教祖夫人のわがままか
2009年7月号 [ディープ・インサイド]
代行では不満だった?
「幸福の科学」が旗揚げした「幸福実現党」が、お披露目の記者会見を開いたのは5月25日。そのわずか10日後の6月4日に異変が起こった。党首代行だった教祖(大川隆法総裁)夫人の大川きょう子氏が突如、党首に就任したのだ。党の顔になるはずだった饗庭直道党首と佐藤直史幹事長は、それぞれ広報本部長、総務会長代理に降格され、きょう子氏の覚えがめでたい、元通産省キャリアの小林早賢氏が広報本部長から幹事長に抜擢された。
きょう子夫人らによれば、党首交代は信者の求心力を高め必勝を期す選挙対策で、党役員会において全員一致で了承されたという。「大川総裁にも事後報告で了承を得た」(小林幹事長)
すでに報じられているとおり「幸福実現党は総選挙で1議席も取れない」というのが政界関係者の大方の見方。これを意識したか、党首交代と合わせて「消費税・贈与税・相続税の廃止」「人口を3億人に」といった突拍子もない選挙公約を打ち出した。比例ブロック・小選挙区を合わせて333人の立候補者名簿を公表し、各所で派手な街頭演説を展開している。
それにしても解せない党首交代だ。夫人はかつて教団内でギリシャ神話の美の女神アフロディーテや文殊菩薩の生まれ変わりとして崇められていた存在。「夫が教祖で夫人が党首では政教分離もヘチマもない。有権者のアレルギーが高まり、明らかな選挙対策の破綻」と、教団ウォッチャーは言う。元信者も夫人の党首就任を訝り、「大川総裁の意向とは思えない。教団内で権勢をふるっていた夫人のわがまま。自己顕示欲が強く、ナンバー2の党首代行では我慢ならなかったのでは」と推測する。
今では饗庭、佐藤両氏に代わって、きょう子夫人の側近である小林幹事長の存在が急速に目立ちはじめた。「マスコミが何と言おうと衆院第一党は可能。勝算もある」と強気の発言を繰り返し、教団の集会では信者に寄付や協力を強く促している。
きょう子夫人が「(1議席も取れなかったとしても)初陣なので責任は取らない」と語る一方、大川総裁は最近の講演で「政治に進出して得をすることなどない」「これからいろいろなことがあるだろう」などと発言。さらに戦前の大本教を例に挙げて「宗教弾圧の可能性」にも言及している。新政党の戦いが見ものだ。
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