2009年9月5日5時31分
自分は日本語を大切にしている――と思う人が7年前に比べて増え、特に若い世代で増加していることが、文化庁が4日に発表した08年度の国語に関する世論調査でわかった。しかし「破天荒」や「時を分かたず」の意味を正しく理解している人は2割に満たず、意識と日本語の使い方の実態には隔たりがありそうだ。
国語施策の参考にするため、全国で3月、16歳以上の1954人に面接調査した。
「日本語を大切にしている」と答えた人は76.7%にのぼり、同じ質問をした02年調査時の69.1%を上回った。特に16〜19歳が43.8%から72.2%に、20代が54.1%から70.9%に増えるなど、若い世代ほど増加が目立った。
一方で人とのコミュニケーションでは「できるだけ言葉に表して伝え合う」という人が00年の50.7%から38.3%に減り、逆に「全部は言わなくても互いに察し合って心を通わせる」という人が23.3%から33.6%に増えた。
文化庁国語課は「日本語ブームなどによって若い世代でも言葉への関心が高まっているのではないか。ただ、日本語を大切にするといっても、国語知識の習得を指す人もいれば、空気を読みながら話すことを指す人もいるので、これ以上の分析は難しい」としている。
慣用句などの使い方では、「破天荒」(だれも成し得なかったことをすること)と「時を分かたず」(いつも)の意味を正しく理解している人がそれぞれ16.9%と14.1%にすぎず、質問した10例のうち6例で誤って使っている人の方が多かった。(編集委員・白石明彦)
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【どちらの言い方を使うか?】
(1)「チームや部署に指示を与え、指揮すること」を
采配を振る(28.6%)
采配を振るう(58.4%)