福岡県大刀洗町で筑邦銀行の現金約7200万円を積んだ現金輸送車が乗り逃げされた事件で、県警は3日、現金輸送車を運転していた同行子会社の社員上野高義容疑者(65)=久留米市田主丸町竹野=を窃盗容疑で全国指名手配し、容疑者の自宅を家宅捜索した。
関係者や県警の調べによると、上野容疑者は自衛官だった当時、競輪やパチンコなどのギャンブル好きで借金があったという。現在も借金があるとの情報があり、県警は事件の背景、動機につながるものとみて捜査している。
手配容疑は、2日午前11時ごろ、大刀洗町上高橋の路上で、助手席の同僚男性(61)に「車の調子が悪いから外で確認してくれ」と指示。降車した直後に発車して逃げ、現金約7200万円や小切手(約1千万円)などを盗んだ疑い。
現金輸送車は約2キロ離れたパチンコ店で施錠された状態で見つかった。県警は、上野容疑者が現金が入ったジュラルミンケース4個を工具でこじ開け、現金を大きめのバッグ2個に移し替えた計画的犯行とみている。現金輸送車の鍵や工具類は見つかってないという。
県警などによると、上野容疑者は同日午前11時半ごろ、パチンコ店前でタクシーに乗車し、JR博多駅(福岡市)筑紫口で下車。運転手に「博多の方に行ってくれ」「車が故障した」などと話したという。九州自動車道基山パーキングエリアで弁当を買い、車内に戻ってから急ぐよう求め、弁当を食べた。大きめのバッグ2個と小さいバッグ1個を所持していたという。
県警は、博多駅の新幹線改札口付近の防犯ビデオを解析、上野容疑者らしき人物は確認できなかったという。今後、在来線も含めた駅構内の防犯ビデオの解析を急ぐ。
=2009/09/04付 西日本新聞朝刊=