政治

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

選択のあとに:09政権交代 惨敗自民、大リストラ 交付金52億円減

 ◇職員の3分の1、60人削減 秘書、数百人規模で失業か

 衆院選で議席を300から119に激減させた自民党内で、党本部の職員を3分の1減らす大リストラ案が持ち上がっている。来年受け取れる政党交付金が通年で52億円余りも減る見通しとなったからだ。前議員らの秘書たちの大量失業問題も浮上しており、惨敗のショックは、党を支えてきたスタッフの前途にも影を落としている。【塙和也、合田月美】

 ●給与もカット

 リストラ案は、現在約180人いる党本部の事務局職員を60人程度削減し、残った職員の給与も3割カットするという厳しさだ。職員の間では「これだけ議員が減ったのだから、ある程度は覚悟しないといけない」とあきらめムードが広がる半面、「優秀な人材が集まらなくなり、長期的にはマイナスだ」(党幹部)と体力低下を懸念する声も出ている。

 政党交付金は国会議員の人数などによって額が決まる。自民党の09年の政党交付金は10月分と12月分で計約17億円減額される見通し。来年は通年で52億6600万円減る計算だ。このため事務局を現体制のまま維持するのは難しくなっている。

 リストラ案は、党内最大派閥の町村派幹部が1日、東京都内で衆院選の善後策を協議した際も話題になったが、その場では慎重論が大勢だった。新総裁の判断もあり、結論が出るまでには時間がかかりそうだ。

 ●意趣返し?

 一方、自民党はこれまで、議員が落選しても、派閥が次の議員を紹介するなど秘書の再就職をあっせんしてきたが、「派閥の存続さえ危ぶまれる今回はそれどころではない」(高村派議員秘書)との声がしきりだ。

 国会議員は、政策立案や立法活動を補佐する政策秘書を含め3人まで公設秘書を置ける。いずれも給与や諸手当を国が支給する特別職の国家公務員だ。議員はこのほか地元などに秘書を置いており、自民の惨敗で数百人規模の失職者が出るおそれがある。

 大勝した民主党には秘書経験者の需要が見込まれるが、同党内には「自民党の秘書雇用は慎重にすべきだ」との声もある。

 自民の秘書たちの間では、前回選挙で民主党議員が大量落選した際、自民党幹事長だった武部勤氏が秘書の雇用について「経験者より、未経験者の採用など新しいあり方が望ましい」と通達したことへの報復ともささやかれている。

 落選した議員の公設秘書は8月分の給与ももらえない。月に1日以上在職した場合、国が翌月10日に支給するが、7月21日の解散で、議員の資格が失われていたためだ。私設秘書のボーナスも通常はお盆に支払われることが多いが、落選で「棚上げ」の秘書が少なくないという。さらに、退職金は制度上の決まりがない。「議員が落選なら「ますます『ください』とは言いにくい」と秘書の一人はこぼす。

 両院秘書協議会会長で、「自民党秘書会」の会長でもある三盃(さんばい)幸久さん(55)は「秘書は議員を補佐する専門職。政権交代によって大量失業しなくてすむよう、党派を問わず、人材をプールするようなシステムが必要ではないか」と訴える。三盃さんが仕えた七条明氏も、比例四国ブロックで落選した。

毎日新聞 2009年9月3日 東京朝刊

PR情報

政治 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド