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グルジア紛争終結から1年、戦場の今は…
グルジア紛争が終わって8月12日で1年がたった。わずか5日間の戦いで約1000人が死亡した戦場の今を、モスクワ支局・片野弘一記者が取材した。
グルジアは1年前の戦いでロシア軍に敗れ、敗戦国となったが、そうした暗いイメージを街中で感じることはほとんどない。開戦から1年目の夜、中世のグルジアで敵を迎え撃つ際にたいたという「不屈の炎」が空を染めた。また、首都・トビリシでは、サーカシビリ大統領が犠牲者に追悼の花束をささげるなど、各地でイベントが相次いだ。
グルジア軍は去年8月7日深夜、南オセチアに侵攻した。南オセチアはグルジアの一部だが、その行動はロシア寄りで、西側に接近を図るグルジア政府と対立していた。しかし、グルジアは南オセチアを支援するロシア軍に敗れ、領土の5分の1を失った。
南オセチアにいたグルジア人は住居を追われ、現在はトビリシ郊外の収容施設で約3万人が暮らしている。欧米の援助を受け、住宅や食料を無償で提供される難民生活は満たされているように見える。しかし、あるグルジア人は「毎日酒を飲んでゲームばかり…働きたいんだよ!」「今すぐにでも、ふるさとに帰りたい」と話すなど、心の傷は癒えない。
紛争が終わった後、グルジアと南オセチアの間には軍の駐留する境界線ができた。難民たちはここを越えることができない。戦場となった南オセチア最大の町・ツヒンバリでは、まだ至る所にその傷跡が残っていて、復興はなかなか進んでいない。
戦争に勝ち、独立を果たしたはずの南オセチアだが、被災者の多くはがれきの中で暮らしている。こうした暮らしの中では、生きる気力や体力を次第に失っていくといわれる。
境界線付近では今も時折、迫撃砲が飛び交っている。隣人同士が憎みあい、戦ったグルジア紛争。その傷が癒えるのは、まだ先のことになりそうだ。
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