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大台厚生病院:経営難で支援要請 大台町や大紀町に必要額20億円以上 /三重

 大台町佐原の大台厚生病院(95床)が経営難に陥り、運営するJA三重厚生連が、地元の大台町や隣の大紀町に支援を要請している。赤字補てんや耐震化のための病院建て替えなどを求めており、必要額は20億円以上の見込み。同厚生連は「地域医療のために、撤退するわけにはいかないが、地域の支援がなければ維持できない」と説明している。【岡大介、木村文彦】

 同厚生連は今月1日、大台、大紀の両町に正式に要請したが、今年春ごろからすでに数回話し合いを重ねてきたという。公設民営化を前提に、10年から協議会を設立することを求めている。

 同厚生連によると、病院は56年に開院。両町の医療の中核を担ってきたが、06年度に6人いた常勤医が今年7月には4人に減るなど、医師不足が徐々に進んだ。院長も今年6月に退任して以降不在で、三重大医学部付属病院から間もなく、派遣される予定だという。

 医師不足に伴い、患者数も減り、経営は悪化した。07年度は約1億7000万円、08年度も約2億2000万円の単年度赤字となり、09年度も同規模の赤字が見込まれる。

 施設についても、耐震強度が不足していることから建て替えを要請。新たな用地の取得と建設費の負担を両町などに求めたいとしている。

 同厚生連が運営する病院では、やはり経営に苦しんだ南伊勢町東宮の南島病院が、08年末に「南島メディカルセンター」と改称し、約50床あった病床を15床に減らし、診療所兼介護老人保健施設となっている。

 家城幸弘・同厚生連常務理事は「地域医療崩壊の波が押し寄せている。大台厚生病院も、このまま赤字が続き、支援が受けられなければ撤退を検討せざるをえない」と、要請に踏み切った経緯を説明する。

 要請を受けた大台町企画課は「透析をしている町民もおり、近隣ではこの病院しかできない。何とか残したいが、町財政は厳しく、巨額の負担は難しいのが現状だ。協議会の話し合いの中で条件が折り合えば支援も検討したい」と話している。

 大紀町の区長の一人、阪口勝利さん(64)は「病院が消えてしまうと、松阪や尾鷲両市の病院に行くしかない。これまで半日で済んだ通院も1日がかりになってしまう。両町の財政は厳しいことは分かっているが、この町にはなくてはならない病院だ」と話した。

〔三重版〕

毎日新聞 2009年9月4日 地方版

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