【ワシントン草野和彦】新入りへのいじめ、宿舎での酒盛り--。アフガニスタンの首都カブールで、米大使館の警備業務にあたる米民間会社の無規律ぶりについて、米国の非営利機関がクリントン国務長官に告発した。旧支配勢力タリバンによる攻撃が首都でも活発化する中、「大使館にとって深刻な危険」と警告している。
告発された会社は「アーマーグループ・ノースアメリカ」。非営利機関がホームページで公開した1日付の長官への告発文などによると、同社の社員450人が大使館の警備に従事。大使館近くの社員宿舎で裸にした新入社員に酒をかけたりするいじめの他、わいせつ行為も横行した。
また夜中に大使館の倉庫から武器を持ちだし、廃屋ビルで「偵察ごっこ」を実施。参加を拒んで解雇されたり、寝不足のまま14時間も警備に従事した社員もいた。米国など英語圏の社員と、ネパールなど英語が不得意な社員との「言葉の壁」も問題を深刻にしているという。
国務省と同社は、年間1億8000万ドルで約1000人が勤務する大使館の警備の請負契約を結んでいる。ケリー国務省報道官は1日、「深刻だ」との認識を示し、長官が既に、国務省内の担当部局に調査を指示したことを明らかにした。
ただ、報道官は国務省が以前から同社の問題を把握していたことも認めている。イラク市民殺傷事件を起こした米民間軍事会社「ブラックウォーター」(現ジー・サービシズ)の例もあり、米政府の契約業者への監督責任が改めて問われることになりそうだ。
毎日新聞 2009年9月2日 東京夕刊