ドキュメントスポーツ大陸 3回転半・銀盤を舞う 伊藤みどり
BS1で放送されましたがハイビジョンでの放送や再放送もあると思いますのでもし見逃した方がいらっしゃいましたらぜひ見てください。制作サイドで自分達が作ったアウトラインにあわせるためにエピソードをデフォルメしたり、明らかに間違ったナレーションの部分があったりするところがあっても、貴重な映像や当時を伊藤みどりさんや山田満知子コーチ自身が振り返ってのコメントは見る価値が十分にありました。カルガリーオリンピック、パリの世界選手権、そしてアルベールビルオリンピックとリアルタイムで体験した試合は当時を思い出すとともに、知ってるつもりで知らなかったことがいっぱいあったなと、まさに目から鱗&目から涙しながら、「これ録画失敗していたらどうしよう」なんてことも心配しながらあっという間に時間がすぎました。
いろいろ文句はありますが
まずどうしても気になった点から。一つ目は、伊藤みどりさんが国際大会でなかなか勝てなかったのは当時は彼女が苦手なコンパルソリーがあったからで芸術性の評価が低かったからではありません。もちろん、フリースケーティングに力を入れてトレーニングしていたこともありますが、一番の要因はステートアマとして国が選手を養成してた東欧の選手や、リンク環境に恵まれた北米の選手と違って、コンパルソリーを十分に練習する環境が日本になかったことで、コンパルソリーの順位を伸ばすことがなかなかできませんでした。それでもカルガリーオリンピックでは10位、パリの世界選手権では6位となって上位入賞、そして優勝へ結びつけた…というところを無視して、まるで伊藤みどりさんの芸術性が激しく劣っていたように誤認されるナレーションはいただけませんでした。もちろんカタリーナ・ビット選手が芸術性で秀でていたことまでは否定しませんが。
またアルベールビルオリンピックのショートプログラムでアクセルをやめてルッツに変更したくだりでも、「簡単なはずのトリプルルッツで転倒」とばっさり切り捨てたのも、「わかりやすい話にする」という命題はあっても、現在でもトリプルルッツは女子シングルでは最高難度のジャンプのひとつで、当時もごく数人の選手しか跳べなかったという事実を明らかに曲げてのナレーションに疑問を感じました。
これらの「わかりやすくする」ために「事実が誤認されるようなデフォルメをする」って構造は荒川静香さんの「金メダルへの道」でもありましたのでマスコミがドキュメンタリーを作る際の常套手段なんでしょう。自分が知っているジャンルの話ならこうして情報をある程度取捨選択して受け取れますが、自分が知らないジャンルのドキュメンタリーなどでは、きっと疑うことなく受け入れてしまっている自分がいるんだろうなと、マスコミの情報操作の力が怖くなってきました。
なんてことに目くじらを立てつつも、この時期にこのテーマで番組を作った気概を買いたいと思います。
トリプルルッツを選んだわけ・・・
さて、アルベールビルオリンピックのショートプログラムで当初予定されていたトリプルアクセルをトリプルルッツに変更した理由ですが、当時も山田コーチが伊藤みどりさんの決断に任せたというのは報道されていましたが、伊藤みどりさんがなぜ最後、アクセルを選ばなかったかと言う部分はあまり語られなかったと思います。今回、みどりさん自身は本当はアクセルを選びたかったんだけど、国の代表として順位を期待されているのだから、当時のルールでは現在のルール以上にミスが許されないショートプログラムでミスはできないと思い、ルッツを選んだというみどりさん自身の言葉を聞いて、すごくみどりさんらしいなと納得するとともに、当時みどりさんに託された、というかこの場合は課せられたのほうがあっているでしょうか、日本のファンや関係者、マスコミなどの期待の大きさが想像をはるかに超えたものだったことをあらためて思い知らされました。
やはり思い浮かんだのはあの選手
そして、どうしても、NHK杯の女子フリーを見たその夜にこのドキュメンタリーを見たので、あの選手のことについて考えずにはいられませんでした。他人よりも才能に恵まれてしまったという理由だけで、本来なら楽しい青春時代をすごしている時間をハードなトレーニングに捧げなければならなくなった上に、周囲から大きな期待や大きなプレッシャーをかけられ、また他人よりも早く大人になることを強いられてしまったスケーター。年齢を重ねれば重ねるほど、成績を上げれば上げるほど、それまで心のよりどころだった家族や友達にもわからない悩みをどんどん抱えるようになってしまっているのではないか、どんな孤独な戦いの中に身を置いているのだろうか?と心配に拍車がかかります。もし、この番組を見ていたなら当時の伊藤みどりさんの気持ちが今一番分かるのは、きっと彼女なんじゃないかなと思いながら番組を見終わりました。その道をあなたより前に歩いた人がいるんだよと教えてあげたいです。伊藤みどりさんや荒川静香さんなど先輩の経験を聞いたり相談したりできるなら、少しは心が軽くなるんじゃないかな?なんて番組を見終わった後、考えさせられました。
スケートとは関係ないですが、自分も人生の先輩から学ぶ心をもっと持たないと…といまさら反省しても手遅れ感もぬぐえませんが(爆汗)。
BSハイビジョンでは来週月曜日(12月3日午後 6時00分〜)に放送がまだ残っています。また12月9日午前11時10分からBS1で再放送もあるそうです(chinaさん情報ありがとうございました)。
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これ、よくありますよね。先日再放送された「金メダルへの道」では「難易度の高いジャンプはありません」(3-3は難易度低いの?)とか「世界選手権で表現力が高く評価されて優勝」(3-3を二つ飛んでるのに?)とか「得意とはいえないジャンプでも高得点を狙っていました」(得意とはいえない?)とか「冷静な判断で転倒を防ぎます」(転倒じゃなくて回転不足判定を防いだ)とか・・・。
>思い浮かんだのはあの選手
ほんと、スケート漬けの日々に疑問を持ってもおかしくない年頃ですよね。考えてしまいます。
山田さんの「サルから人間になった」は名言だと思います。今の浅田選手がまさにそうですね。
残念ながら見逃してしまい、かなり凹んでいましたが、9日にBSで再放送があるみたいなんで、HDDに今からしっかり予約を入れておきます(笑)。
しかし、NHK杯女子FS。。。
大ショックで、まだ立ち直れていません。
でも、1番辛いのは、ご本人でしょうね。
心身共にリフレッシュして、新たな戦いに挑んで下さる事を願ってやみません。
こんばんは!
「金メダルへの道」も素敵な番組ですけどいろいろ気になりますねやはり。特にあの番組は多くの人が見て本まで出版されましたので、影響力があればあるほど正確さも追求して欲しいと思います。やりすぎると「あるある大辞典」になってしまいますし。そうであっても、今夜の番組も内容がよかった。だけにもったいないって話でした。
浅田選手はまだ世界選手権を勝ってないところが救いというか本人も世界チャンピオンを目標にがんばれる余地が残されているのかなーと、こうして勝つことを前提に話されてしまうことが不幸といえば不幸なんですが、彼女も世界チャンピオンやオリンピックの金メダルになれたとして、その後、現役を続けたならそこにもうひとやまあるんでしょうね。外国の選手(たとえばヤマグチ選手やクワン選手)がどうやってそういったプレッシャーなどに打ち克っていったのかも知りたくなりました。
こんばんは!
9日に再放送があるんですね。
良かった。ぜひ多くの方に見てもらいたいと思いましたのでこちらでも告知させていただきます。
みなさんショック受けていると思いますけど…私はこの番組でかなり癒されましたので、こんな夜中のちょろちょろ録画を見ながら感想を書いたりしています。
>やはり思い浮かんだのはあの選手
凄く気持ちの伝わる評でした。このまま安藤選手に伝えたい!
スポーツナビのインタビュー記事で、あの辛い時によくここまで気持ちが整理できてプレスに説明されたと感動しました。これがあれば、必ずや全日本には万全に調整して元気な姿を見せてくれるものと期待します。
こんにちは!
スケートブームの思わぬ副産物とでもいうのでしょうか、こうして伊藤みどりさんの功績が若い方にも知ってもらうのはファンとしてはうれしいかぎりです。
安藤選手、世界チャンピオンという頂点を極めてしまうとあとは維持するか落ちるしかない厳しい状況。みどりさんもチャンピオンになった直後のエキシビションツアーで足を怪我してしまって不安を抱えたまま翌シーズンがはじまったと記憶しています。全日本ではトリプルアクセルを封印して、表情も冴えませんでしたが、世界選手権では復調した姿を見せてくれましたし、安藤選手も体調や精神状況などバイオリズムを整えながら復活する時がきてるれることを願っています。みどりさんのときと違うのは国内の代表争いから激しく、ゆっくり調整している時間がないというところですが…安藤選手のカルメンを完成させた姿がいつかみたいですね。
明白な「デマ番組」「ねつ造」を、
「デフォルメ」等として、
■「弁護」する行為は、やめてください。
貴方のような人間のせいで、
この事件が起こり、デマが蔓延しています。
■デマを広める行為は、やめてください。
疑問等があれば、堂々と質問・反論してください。
NHKデマ事件 【簡潔・事実版】 V8
http://s04.megalodon.jp/2009-0525-1907-14/messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=SP&action=5&board=1835594&tid=0kfa3a4dfa4ia4j&sid=1835594&mid=2330
デマの原因 (D理論 5本柱)
http://s01.megalodon.jp/2009-0902-1304-19/messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=SP&action=5&board=1835594&tid=0kfa3a4dfa4ia4j&sid=1835594&mid=2412