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論説
民主党政権に望む/農を礎に国造り進めよ
掲載日:2009-8-31 12:25:00

 第45回衆議院選挙は民主党が圧勝した。自民党と公明党の連立政権に代わり、民主党中心の政権が誕生する。小泉構造改革で生まれた格差や農村の疲弊に対し、民主党は戸別所得補償制度を中心とした農業政策を示し、政治主導の政策決定に仕組みを改め、農業を再生するとうたった。この国の大きな変わり目である。民主党政権には農業を国造りの礎に位置付け、再生を実現してもらいたい。

 今回の衆院選は、自民と民主という二大政党のどちらかを選ぶ政権選択選挙だった。農家所得の減少や世界で食料需給の逼迫(ひっぱく)が続く中で、農政も大きな争点になった。日本農業新聞の読者調査でも、当初から民主が優勢だった。農村部での民主圧勝、自民惨敗は、農業者が自民党農政に不満を強め、変化を求めた結果といえる。新政権はマニフェスト(政権公約)の農業政策を順次実施に移していくことになるが、説明は不十分だ。有権者は変化を求めたが、公約をすべて支持したわけではない。個々の政策の内容を示し、実施に当たっては混乱が起きないようあらためて議論が必要だ。

 農業政策の柱として、販売農家を対象に創設する戸別所得補償制度もその一つだ。米、麦、大豆などの計画生産実施者に販売価格(全国平均)が生産費(同)を下回った場合に差額を交付金として補てんする。品質や加工、米粉用米の生産、規模拡大、環境保全の取り組み状況などを加味して金額を算定するとしている。2010年度に制度設計して翌年から順次導入する予定だが、農業者は算定方法や具体例などを含む詳細が示されないと理解できない。農業所得を確保し、担い手育成につながる政策につくり上げるよう求めたい。

 新政権に強く注文したいのが、国際化への対応、農産物貿易政策である。民主党はマニフェストに当初、「日米自由貿易協定(FTA)を締結」と記し、農業団体などの批判を浴びて「交渉を推進」と修正した。食料自給率の向上や国内農業の振興などを損なうことは行わないと説明を加えた。しかし、FTAの交渉推進と食料自給率の向上は相反する。どう両立させるのか説明が必要だ。米国やオーストラリアの農業大国を相手に、重要品目の関税を撤廃しては国内農業は壊滅的な打撃を受ける。世界貿易機関(WTO)農業交渉も、10年度中の決着に向けて9月にも動きだす。日本は食料純輸入国であり、これ以上の自由化を認めるわけにはいかない。

 昨年秋からの米国発の経済危機は、市場原理優先の成長戦略ではいずれ行き詰まることを示した。地球温暖化対策や生物多様性の重要性が高まっており、産業構造の転換を迫られている。農業・農村の再生や環境保全なくして、持続的な社会は実現できない。このことを政権運営の基本に据えるよう訴えたい。

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