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民主、政権公約を修正 日米FTA・成長戦略・分権

2009年8月8日3時4分

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 民主党は7日、衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げた「日米自由貿易協定(FTA)」について、「締結」の表現を「交渉を促進」に変更するなどの修正文を発表した。国内農畜産業の保護に配慮した。経済成長戦略についても、記載済みの政策をくくり直す大幅な文言修正で明示し、「不熱心」との批判に応える方針だ。これらの修正をしたマニフェストの「確定版」を週明けにも決定する。

 この二つに加え、地方分権についても、都道府県知事らの要請を受けて国と地方自治体の「協議の場」を設置することを追加する方針だ。

 政権交代を掲げる同党は先月27日にマニフェストを発表したが、一部の政策には反発も大きい。党内論議の詰めの甘さもあり、公示前に修正を迫られることになった。

 日米FTAに関する修正は菅直人代表代行が7日の臨時記者会見で発表。「締結」の削除に加え、「食の安全・安定供給、食糧自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない」との一文を入れると表明した。

 市場開放と農業保護のバランスに関する党の方針について、菅氏は「FTA交渉の推進は従来の民主党の基本方針」と主張。一方で、コメなどの主要農産物については「関税の引き下げ・撤廃等を行わない」と語った。

 党幹部らが、生産費と販売価格の差を補う戸別所得補償制度の創設を前提に、主要農産物も交渉の対象になると取れる説明をしてきたことについては、「制度を入れるから(関税を)下げていいという関係にない」と否定。ただ、主要農産物が交渉の対象から完全に外れるかどうかについては明言を避け、説明にあいまいさを残した。

 当初、マニフェストには外交分野の「緊密で対等な日米関係を築く」の項に「米国との間でFTAを締結し、貿易・投資の自由化を進める」と表記していた。ただ、農業政策との関係があいまいで、自民党農林族は農畜産品が関税撤廃の対象となるとして「日本農業が崩壊する」と批判。農業関係者にも不安が広がっていた。

 また、「確定版」では、当初は全体像が示されていなかった経済成長戦略について項目を立て、説明する修正を行う。子ども手当やガソリン税の暫定税率廃止、高速道路無料化などについて、「可処分所得増大を通じた内需拡大」といった文脈で、成長戦略として位置づけ直す方針だ。

 民主党の主張には、自公政権による税金の「むだ遣い」批判や政権交代による「予算の全面組み替え」など、現在の歳入を前提に改革を掲げる印象が強い。これが与党の成長戦略「不在」批判を生んでいるため、主要政策を、いかに経済成長につなげるかという観点からアピールする。

     ◇

■民主党マニフェストの修正点

【日米FTA】

 「締結」を「交渉を促進」に表現を弱める変更。「食の安全・安定供給、食糧自給率の向上、国内農業・農村の振興を損なうことは行わない」と付記

【地方分権】

 「国と地方の協議の場」を追加

【成長戦略】

 可処分所得の増大による内需拡大を通じた経済成長(表現は調整中)

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