比例東海ブロックで最後に当選が決まった民主党の磯谷香代子氏(43)は2週間前まで国会議員になるなど想像したこともなかった。降ってわいた名簿登載と驚きの当選。31日、名古屋市内で毎日新聞に「いろいろな事情を抱えた人々の話を丁寧に聞きたい」と抱負を語った。
磯谷氏を連れてきたのは同党の谷岡郁子参院議員。7~8年前、愛知万博の市民プロジェクトで知り合い、07年の参院選で事務所スタッフとして手伝ってもらった。公示3日前の8月15日、小沢一郎代表代行に「比例候補が足りなくなるかもしれない。誰かいないか」と言われ、磯谷氏に声をかけた。
定職に就いた経験が少なく、友人の仕事を手伝ったりして生活してきた磯谷氏。「仕事を辞める必要がなく、立候補に必要な住民票などをその日のうちに出せる人」という条件が人生の転機を呼ぶとは思いもよらなかった。
谷岡議員から「人に迎合しないところが政治家向き」と言われたという。出馬打診に「(前回の郵政選挙で)面接を経て候補者になった杉村太蔵君(今回は出馬断念)の方がまし」と周囲に漏らしたが、結局名簿に載ってしまった。
議席は、みんなの党の当選枠が埋まらず回ってきたもの。当選に喜ぶ谷岡事務所の人々を横目に、顔の引きつりが止まらなかった。40代、独身。「将来の展望もなかった」という生活から未知の世界へ。「人々が効果を実感できる政策を一つ一つ実行していきたい」と話した。【飯田和樹】
毎日新聞 2009年9月1日 9時04分(最終更新 9月1日 20時02分)