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大阪駅新北ビルに全力…JR西の佐々木隆之・次期社長

 31日の社長就任を前に、読売新聞のインタビューに応じたJR西日本の佐々木隆之副会長は、福知山線脱線事故を踏まえ、安全に対する投資を続けることに加え、2011年春開業の大阪駅新北ビルと九州新幹線直通乗り入れの「2大プロジェクト」を着実に進める考えを強調した。不況の中で、安全面の強化と企業としての成長戦略をどう描くか、手腕が問われる。

(戸田博子、井口馨)
建設が進むJR大阪駅新北ビル(大阪市北区で、本社ヘリから)=上田尚紀撮影

 佐々木氏は景気の先行きについて、「長期にわたって低迷すると覚悟している」と述べた上で、09年度の経費を当初の計画より70億円減らし、7800億円とする方針を明らかにした。

 新型インフルエンザの流行や高速道路の通行料割引の影響が予想以上に深刻で経営が厳しくなるとみられるためだ。09年4〜6月期の運輸収入は、前年同期より170億円余り減った。10年3月期の連結業績予想も7月に下方修正したが、新型インフルエンザの流行が深刻化すれば、さらに悪化するおそれがある。

 具体的な経費削減策として佐々木氏は、「安全のレベルを落とすことなく、(08年度の実績で1390億円だった)修繕費を下げることができないか社内で検討している」と述べ、線路などの設備の修繕や維持にかかる工事の効率化を進める考えを示した。

 一方、今後の収益の柱はJR大阪駅の新北ビルと、九州新幹線と位置付けた。

 新北ビルは「徹夜に近い体制で工事を進めており、予定通り11年春に開業させる」という。百貨店や映画館などのテナント以外に、オフィス用のスペースも多い。不況の中、入居企業の募集活動は苦戦も予想されたが、「立地が駅そのものなので、魅力を感じてもらっている。(大阪の別の地域からの)オフィス移転も起きる」と、自信をのぞかせた。九州新幹線についても、「予定通り11年春に乗り入れる」とした。

 紙の切符を持たずにICカードをかざすだけで乗車できるチケットレスサービスが山陽新幹線(新大阪―博多間)で29日に始まるが、カード事業はJR東日本やJR東海に比べて出遅れている。「無限の可能性があるが、(顧客の利用状況など)大事な情報をまだ使い切っていない」と述べ、事業を強化する意向を示した。

2009年8月29日  読売新聞)

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