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現場から:’09衆院選/7止 救急医療 /山形

 ◇使命感で水準保つが

 米沢市がそれまでの「休日急病診療所」を市医師会の協力で平日夜間の軽い急患診察も加えた「平日夜間・休日診療所」に昨年11月改めてから9カ月。西大通り1の市すこやかセンターに隣接し、2次救急指定の3病院の負担を軽減している。

 今月下旬の平日午後7時、会員医師1人、看護師2人と事務員の4人で“開院”すると、さっそく「下痢がひどい」という少年と母親が来た。隣町の川西からという。「救急病院に行けば加算され高いので」と薬をもらいホッとした表情で、車で帰った。夜間に救急病院に行き「緊急性がない」と診断されれば時間外診療加算料3000円が受診料に上乗せされる。

 熱を出した11カ月の女の子を心配そうに連れてきた20代の若夫婦。「かかりつけの先生に診てもらいたいけど、この時間無理なので」。診察後、笑顔も見せるわが子に安堵(あんど)の表情になった。合間には相談電話も来る。「血圧が高い」という老人の家族には、医師が要入院と判断、当番の市立病院に行くよう指示し、病状をファクスと電話で病院に連絡するなど忙しい。

 「平日夜間」は平日午後9時半まで。小児救急研修を受けた内科、小児科、外科の計33人が交代で務める。「休日」は午前8時半~午後4時半。山形大医学部小児科の協力も得て内科、小児科2医師態勢を維持する。1日平均、平日夜間は5・3人、休日には43・8人が受診している。

 運営は市単独事業で今年度予算は3100万円。休日だけから平日夜間が加わり1400万円増だ。

 市立病院の医師も多忙だ。夜間救急輪番担当が月15日もあり、輪番以外の夜も加え、20科46医師と3研修医が交代で宿直する。その実態は午前8時半から外来診察後、宿直に入り、翌日も外来や入院患者診察をし午後5時過ぎまで。仮眠時間はあるものの、実に32時間を超える勤務となる。事務局幹部は自嘲(じちょう)気味に「はっきり書かれると、労働基準局から指摘され医療体制に差し障る。銚子市立病院にはなりたくない」。現況は医師の使命感で高い水準を保っている形だ。芦川紘一院長は「問題は勤務医不足の地域格差と、先進国でも少ないと言われる医療費の足りなさ」と憂える。

 市医師会の高橋秀昭会長は「二十数年前、『医師が多すぎる、医療費が高い』と『悪』のように言われ、国が二つを減らしたツケが回ってきた。育成には10年以上かかり、配置を適正化しないと大変なことになる」と話した。

  ◇   ◇

 自民党は「救急医療や産科医療を受けられる体制をつくり、勤務医を確保する」「医療確保のため医師数を増やす」とする。民主党は「医師養成数を1・5倍にする」「医療提供体制を再建するため、地域医療計画を抜本的に見直し、支援する」とうたう。【近藤隆志】=おわり

毎日新聞 2009年8月29日 地方版

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