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奈良・桜井の同級生刺殺:少年起訴 裁判員裁判、関係者に課題 /奈良

 桜井市の近鉄桜井駅であった同級生殺害事件は27日、少年(18)が殺人罪などで起訴され、裁判員裁判という新たな局面を迎える。少年の更生やプライバシー保護への配慮が必要な一方、裁判員に分かりやすい立証や説明が求められる。裁判員裁判の対象事件で少年が起訴されたケースはまだ少なく、関係者の模索が続きそうだ。【高瀬浩平】

 注目されるのは、家裁調査官らがまとめた少年の社会記録の扱いや法廷でどこまで朗読するかだ。社会記録には少年の性格、成育歴、家庭環境などが詳しく書かれており、プライバシーへの配慮が必要になる。少年の弁護人を務める井上直治弁護士は「裁判員が事件の背景を理解するために社会記録は見てもらった方がいい。裁判員の守秘義務の徹底は不可欠だ」と指摘する。

 少年の更生と被害感情との兼ね合いも問題となりそうだ。殺害された私立高校3年の浜田知哉さん(当時18歳)の両親は被害者として参加する意向を示している。両親の代理人の古川雅朗弁護士は「両親は事実を明らかにしてほしいと願っており、検察官と意見交換して、立証や争点について被害者側の意見を伝えたい。少年事件は主張を控えめにすべきだという議論もあり、バランスが難しい」と話す。

 成人の裁判では、裁判員が有罪か無罪かを認定し、量刑を決める。少年の場合は少年法55条により、地裁で「保護処分が相当」と認められた場合は、事件を家裁に戻すことができる。元家裁調査官の広井亮一・立命館大教授(非行臨床)は「少年の健全育成を目指す少年法の理念は起訴後も生きている。起訴されたら刑罰を与えなければならないという先入観があるが、それは違う。少年法の理念を理解した市民が裁判員になれば、事件を家裁に戻す選択や、保護主義に基づいた量刑判断がされるだろう」とみている。

毎日新聞 2009年8月28日 地方版

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