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09衆院選きょう公示 選択に値する政策論争を/公約と実行力を吟味したい2009年8月18日

 第45回衆院選が18日、公示される。政権選択を懸けた重大選挙であり、有権者は各党のマニフェスト(政権公約)や候補者の公約を丁寧に点検し、1票を投じたい。
 2005年の郵政解散選挙以来、4年間で自民党の総理総裁が3人変わったが、いずれも国民の信を問わず政権は継続された。さらに、2代続けて中途で政権を投げ出すという政治姿勢に国民の政治不信が高まった。政治の信頼を取り戻すことが第一だ。国民本位の政治を進めるためにも、30日の投開票に向け、各党はより具体的な政策論争を深めてもらいたい。

社会保障を最優先
 共同通信社が実施した衆院選立候補予定者への政策アンケートでは、選挙後に最優先で取り組むべき課題(複数回答)は、「年金、医療などの社会保障改革」だった。
 年金記録不備の是正や医師不足解消など暮らしや生命に直結する課題だけに早急な取り組みは当然である。候補者の関心事は、そのまま有権者の関心事としても符合する。
 社会保障などの財源確保のため、景気回復後の消費税率引き上げも争点の一つだ。政策アンケートでは、自民候補の7割超が賛成としているが、民主候補は8割超が反対。公明候補は5割弱が賛成したものの、「どちらとも言えない」が4割超と考え方が分かれている。社会保障という、暮らしを支える財源を消費税に求めることへの是非を含め、論戦が必要だ。
 今選挙は、マニフェスト型選挙であり、各政党の政権公約に関心を持ちたい。
 公示を前に17日、主要6党の党首による討論があった。麻生太郎首相(自民党総裁)は経済の回復実現を訴え、民主党の鳩山由紀夫代表は選挙で長期政権の総括を呼び掛けた。公明党の太田昭宏代表は経済危機への取り組みを強調。共産党の志位和夫委員長は自公政権の問題点を指摘、社民党の福島瑞穂党首は政権交代後に非核三原則の法制化をあらためて提起し、国民新党の綿貫民輔代表は郵政民営化の見直しを重ねて主張した。
 これら主要政党の主張は、国民のために何ができるのか、その点を有権者はよく吟味する必要がある。
 県内四つの選挙区では15人が立候補を予定している。年金や医療などの社会保障改革といった国政課題が問われることはもとより、県民の抱える課題をどう解決するかが重要だ。
 米軍普天間飛行場の移設問題は、懸案の一つとしてその解決策が問われる。日米両政府が進めている「米軍再編」のロードマップ(行程表)発表から3年が過ぎた。沖縄の過重な米軍基地負担の軽減が強調されてきたが、外来機の飛来増もあり、実情は負担増だ。普天間移設の有効手段は何か。各候補者は、こう着状態にある普天間移設をどう動かすか。展望を示すことが重要だ。

少数意見どう反映
 昨秋のアメリカ発の金融危機以降、国内は未曾有の景気後退で、国民に大きなしわ寄せがあった。雇用環境も大きく揺らいだ。派遣切りが増え、国民の暮らしを大きく圧迫した。それら経済対策の有効策も急務だ。加えて、新たな沖縄振興の制度設計といった直面する懸案の道筋をどうつけるのか、各候補者は示してもらいたい。
 有権者の間では、二大政党への関心が強まるが、判断材料が二つに一つということでは、そこから漏れてしまう少数意見が政治に反映しにくいという弊害も出てくる。
 政治への不信感は、政党や政治家の姿勢に由来する点も大きい。日ごろからこの国の針路について、真摯(しんし)に思案し、行動することで有権者の信頼を得ることができよう。
 自公連立政権の維持か交代か、政権の枠組みへの国民の高い関心が集まる。だが、自民と最大野党の民主の主張には、県民が関心を持つ外交・防衛政策などの違いが分かりにくい。2党の動向ばかりに目が奪われていては、選択肢を狭めてしまうと危惧(きぐ)する有権者もいるだろう。
 有権者は、確かな目で候補者を判別したい。そのためにも、より幅広く政党や候補者の主張に耳を傾けることで、適切な政策を見つける努力をしたい。政党や候補者は、有権者の審判に堪え得るよう具体的な施策を提示し、主張してもらいたい。


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