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日本、「核密約」文書の再機密化要請 公開した米に(2/2ページ)

2009年8月26日3時48分

 99年12月当時、小渕内閣の河野洋平外相の下で外務事務次官を務めていた川島裕・宮内庁侍従長は先月、核密約問題についての朝日新聞の取材に「コメントする立場にない」と述べている。(倉重奈苗)

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 〈安保条約討議記録〉 60年の日米安保条約改定の際に新設された「事前協議」制度の具体的運用について、当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日大使の合意を記録した文書。事前協議について「米軍機の日本飛来や米海軍艦艇の日本領海・港湾への進入に関する現行の手続きに影響を与えるものとは解釈されない」と明記。核搭載米軍機や艦船がそれまで通り自由に日本に飛来・寄港できることを担保する内容で、「核密約」の根幹を記した文書とされる。この解釈については63年に、当時の大平外相とライシャワー駐日大使が秘密会談で改めて確認している。

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 ■我部政明・琉球大教授(国際政治学)の話 米国務省の正式な手続きを経て公開された外交文書が再び非公開となることは異例で、日本政府の関与を聞いて、やはりそうだったのかという思いだ。核密約を確認した63年の大平正芳外相とライシャワー駐日米大使(いずれも当時)の会談記録もいったん公開された後、非公開になっている。日本政府の関与が疑われるケースはほかにもある。

 情報公開をめぐっては「原則すべて公開」の米国とは対照的に、日本は「公開するものを選ぶ」のが実態だ。特に改定日米安保条約、沖縄返還協定、日米防衛協力などの分野の記録の重要な部分は公開されていない。我々研究者は、米国の公開資料を通じて日米交渉の経緯をやっと知ることができる。いつまでも国民に知らせることができないというのはなぜなのか。また「ない」と主張し続けるのなら、なぜその部分が日本にはないのか。説明責任が政府にはあるのではないか。

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