県立医大付属病院(福島市)で4月から、帝王切開経験者の自然分娩(ぶんべん)の受け付けをやめていたことが25日分かった。通常より子宮破裂などの危険が高い一方、産科医と婦人科医が計2人しかおらず、当直時の緊急の帝王切開ができないのが理由という。
この分娩では95年、同市の幕田美江さん(42)が同病院で子宮破裂を起こし、帝王切開で出産した次女は脳性まひを負い00年に死亡した。幕田さん夫婦は、同病院のミスとして損害賠償を求めて提訴。今年2月に仙台高裁で和解した。
条件にはインフォームドコンセントや、子宮破裂に速やかに対応できる体制を整えることなど再発防止マニュアルの作成が含まれた。結局作られず、同病院は「必要な医師の確保は当分先で、今は作る必要がないと判断した」と話した。
夫の智広さん(43)は「和解したのは、今後は安全性が得られると信じたから。対策の検討もなくやめるのは改善とは言わない」と話している。今後、同病院の決定が和解条件に抵触しないか確認するという。【神保圭作】
毎日新聞 2009年8月26日 地方版