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裁判員:性犯罪、身近な人は不選任 被害者に配慮 最高検

被害者のプライバシーを守るための検察対応
被害者のプライバシーを守るための検察対応

 性犯罪を審理する裁判員裁判で、最高検は、被害者と生活圏や人間関係が共通する裁判員候補者を裁判員に選ばないよう積極的に地裁に求める方針を、全国の高検、地検に示した。被害者のプライバシー保護が狙いで、該当者については裁判員選任手続きの際、理由を示さずに不選任請求する。被害者には事前に候補者名簿に知人がいるかも確認してもらい、同様に対応する。不選任請求に関する検察の具体的な方針が明らかになるのは初めて。

 性犯罪の裁判員裁判は9月2~4日に青森地裁、10月20~22日に福岡地裁で開かれる。

 性犯罪を巡っては被害者側から、身近な人間が裁判員になって被害実態を知られることや、候補者に被害者情報が伝わることは心理的負担が大き過ぎるなどと懸念の声が出ていた。裁判員法では、被告や被害者の親族、代理人らのほかは、不公平な裁判をする恐れがあると認められた者しか裁判員から外すことができない。検察側は選任手続きでの権利を活用することで対応することにした。

 検察幹部によると、被害者に日常生活の範囲や人間関係を尋ね、地域や団体など「一定の範囲」を設定する。選任手続きでは、「住んでいる自治体は」「職種は」「大学生の知り合いがいるか」「何のサークルに入っているか」などと候補者に対して裁判長に質問してもらい、回答が「一定の範囲」に当たれば理由を示さず不選任を求める。該当者が法定の人数を超えた場合は追加質問で絞り込む。

 また、被害者に候補者名簿を示して知り合いと同じ名前があれば、年齢や容姿を聞く。選任手続きで同一人物と確認できたり、別人と断定できない場合は同様に不選任を求める。「不公平な裁判をする恐れがある」と判断できれば、それを理由に不選任請求する。

 理由なく不選任請求すべき人が法定の人数を超える場合は判明している事情から優先順位をつけて請求する。

 【ことば】▽裁判員選任と不選任請求▽ 裁判員候補者は、一般的に初公判当日の午前に行われる裁判員選任手続きに臨む。地裁は候補者に質問した上で、検察側などの請求も踏まえ、不公平な裁判をする恐れがあると判断した場合は不選任決定する。このほか、検察側と被告・弁護側は理由を示さないで原則各4人まで不選任を請求でき、地裁は必ず認める。辞退希望が認められた人を含め不選任となった人を除く候補者から抽選で6人の裁判員が選ばれる。

毎日新聞 2009年8月26日 2時30分(最終更新 8月26日 2時30分)

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