イラク南部のナシリヤ油田の開発を巡る交渉が大詰めを迎え、新日本石油など日本企業連合が目指す権益の獲得に向け最終調整に入った。ナシリヤ油田の生産量は日量60万バレルが見込まれ、合意すれば、日本勢が中心となって開発する油田としては、過去最大規模となる。
権益の獲得を目指しているのは、石油元売り最大手の新日石、国際石油開発帝石(INPEX)、プラント大手の日揮の3社による日本企業連合。
イラクは復興資金獲得のため、約40年ぶりに国内の油田・ガス田開発を外資に開放し、ナシリヤ油田の開発には日本勢のほか、イタリアの炭化水素公社、スペインの資源大手が名乗りを上げた。
その後、イラク政府は日本とイタリアの提案に事実上絞り込み、交渉を進めている。
日本企業連合は、製油所や発電所などのインフラ整備や国際協力銀行を通じた金融支援を提案した。
ナシリヤ油田は日量15万バレルで採掘を開始し、2年後には日本の消費量の約1割に当たる日量60万バレルの生産を目指す。
日本勢がこれまで開発した油田としては、ペルシャ湾のカフジ油田の日量30万バレルが最大だった。【柳原美砂子】
毎日新聞 2009年8月25日 東京夕刊