北朝鮮経済を支える金や物資の大動脈とされる中国国境の町・丹東に異変が起きています。
アメリカのクリントン元大統領の訪朝受け入れや韓国への弔問外交など、北朝鮮は新たな動きを見せている。北朝鮮経済を支える金や物資の大動脈とされる中国国境の町で、その背景を探りました。
中国と北朝鮮との国境に位置する丹東の町に今、ある異変が起きているという。
北朝鮮との貿易が7割を占める中朝貿易最大の物流拠点で、本来活気づいているはずの丹東の街が、シャッター通りと化している。
店主は「店は何軒もたたんだよ。北朝鮮の支払いが滞ったのが原因だ」と話した。
国連が6月に採択した北朝鮮への制裁決議。
それ以降、銀行を通じた送金や決済が難しくなり、取引が低迷し、北朝鮮との取引が2008年の半分にまで落ち込んだ店もあるという。
国際社会による厳しい締めつけの中、クリントン元大統領の訪朝受け入れや、韓国への弔問外交など、このところ対話路線へ軟化の兆しを見せる北朝鮮。
しかし、国内では外部との接触を制限し、引き締めを図っていると指摘する声もある。
国境貿易従事者は「経済制裁もあるし、北朝鮮の150日戦闘も関係ある。(北朝鮮の)新義州の市場から物がなくなっていると聞いた」と話した。
こうした中、網の目をくぐり抜けて、外貨獲得に奔走する北朝鮮の姿をキャッチした。
丹東から車で20分ほどの漁港に、1隻の漁船が停泊していた。
密輸業者は「(どこから来たんだ?)北朝鮮だ」と話した。
水揚げされていたのは、北朝鮮産のカニ。
現在、禁漁期にあたる中国に、毎日10トンものカニを密輸しているという。
密輸業者は「(支払いは?)ドル決済だよ」と話した。
川幅わずか5メートルと、厳しい監視体制をくぐり抜けた危険な取引は、以前から行われているという。
裏で続く中朝の交易。
丹東では25日、新たに北朝鮮の領事部が開設された。
中国との取引で頻発している金銭問題に対処するための拠点になるとみられている。
度重なる核実験・ミサイル発射が落とした大きな影。
丹東の店のシャッターが開く日は、いつになるのだろうか。
(08/26 00:53)