2009年8月24日21時42分
バグダッドで24日、新会派「イラク国民同盟」を結成し、記者会見を行うジャファリ前首相(中央)ら=ロイター
【カイロ=平田篤央】イラクのマリキ首相を支えてきたイスラム教シーア派中心の与党会派が分裂し、24日、首相の率いるダワ党を含まない新たな統一会派を発表した。来年1月に予定される国民議会選挙をにらんだ会派の再編で、マリキ氏は難しい政局運営を迫られることになった。
発表された新会派「イラク国民同盟」は、最大与党のイラク・イスラム最高評議会(SIIC)、反米強硬派のサドル師派などシーア派政党に、スンニ派や宗教色の薄い政党など計11の政党と無所属議員らで構成される。
24日の記者会見でSIICのハムーディ議員は、前日にマリキ氏との協議が決裂したと明らかにする一方、ダワ党の参加に向けた話し合いを続ける意向も示した。ただ、関係者によると、SIICはダワ党の求める首相ポストを拒否したといい、首相職にこだわるマリキ氏が妥協する可能性は小さいとみられる。
新会派は国会審議での対応方針は明らかにしていない。しかし、ダワ党と割れたまま選挙が近づけば、マリキ氏は法案成立への協力が得られなくなる可能性もある。
与党内の対立が深まったのは1月の地方選。マリキ氏は新会派「法治国家連合」で臨み、宗派を超えた「強い指導者」像を売り込んで成功。全14州中、バグダッド州と南部9州の計10州で最多議席を得て圧勝した。SIICやサドル師派は大きく後退した。
背景には、イランの影響の強いSIICやサドル師派に対するマリキ氏の警戒感や、中央政府の権限強化を目指すマリキ氏と、シーア派住民の多い南部に連邦政府をつくりたいSIICの思惑の違いがある。
ただ、ダワ党は少数政党で、地方選で成功した戦略が総選挙でも通じるかは不透明だ。マリキ政権がSIIC中心の政権に代わった場合、イランの影響力が高まるとの懸念もささやかれる。