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花巻東ミラクル劇場終幕/夏の甲子園

抱き合って悔し泣きする菊池雄星(右から2人目)ら花巻東ナイン
抱き合って悔し泣きする菊池雄星(右から2人目)ら花巻東ナイン

<全国高校野球選手権:中京大中京11-1花巻東>◇23日◇準決勝

 岩手に、東北に、勇気と感動を吹き込み続けてきた花巻東(岩手)が、華々しく散った。中京大中京(愛知)に1-11で敗れ、夏の岩手県勢初の決勝進出はならなかった。155キロ左腕エース菊池雄星(3年)は背筋痛のため、途中登板も11球で降板。「雄星不在でも勝つ」を胸に刻み、粘りを見せてきたが屈した。それでも春夏連続4強入りは東北勢初の偉業。準Vのセンバツから、記録と記憶を残し続けた「ハナマキ劇場」が幕を閉じた。

 被弾するたび、絶望的なスコアが刻まれていく。それでもベンチは、逆転を信じ笑顔を忘れない。だが本当は苦しかった。9回、先頭の川村悠真主将(3年)が倒れると、エース菊池が目を真っ赤にした。最後は併殺でゲームセット。27個目のアウトを喫した猿川拓朗投手(3年)が、ひざから崩れ落ちた。

 「私が勢いを止めてしまった」。佐々木洋監督(34)がうつむいた。0-1の4回1死一、三塁で佐々木大樹左翼手(2年)にスクイズを指示。絶妙に見えたバントは、不運にもバックスピンがかかり白球は捕手の目の前で止まる。三塁走者は憤死し、一塁に転送されて併殺。流れを失ったその裏、先発吉田、猿川、そして菊池で一挙5点を失った。「雄星だけじゃない」ことを証明し勝ち進んできたが、エース不在での準決勝は厳しかった。2被弾6失点の猿川も「投げても打たれる雰囲気でした」と完敗を認めた。

 02年に就任した佐々木監督に、忘れられないシーンがある。05年夏、初めて甲子園に出場した時の抽選会。初戦の相手が決まった瞬間、対戦校の樟南(鹿児島)から拍手がわき起こる。結果は4-13。悔しかった。「岩手はなめられている」。それを機に目指すものが明確になった。

 「岩手の負い目」を排除すること-。一般社会で成功した人の著書などを読ませ、ナインにNO・1を意識させた。部員全員に読書を徹底させることで意識改革に着手。野球でも私生活でも甘えは許さなかった。試合後、春夏通算10度の優勝を誇る中京大中京の大藤監督は「素晴らしい全力疾走だった。菊池君にも万全で投げてほしかった」と称賛。「弱小」から脱皮したばかりか、今や全国から、ひたむきな姿勢が共感を呼ぶほどになった。

 佐々木監督は「岩手県として大きな扉を開けたことに違いない」と胸を張った。川村主将は、岩手大会で敗れた学校分の数字「74」を帽子の裏に書き込んで、今大会に臨んでいた。「岩手の…みんなのために…勝ちたかった。日本一以外は…意味がないんです…」。涙で息が途切れ、言葉が続かなかった。誰1人、甲子園の土は持ち帰らない。土などなくても、ナインは聖地に「花巻東魂」を刻んだ。そして彼らの軌跡は、あらゆる人の心に刻まれた。【三須一紀】

 [2009年8月24日11時33分 紙面から]


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