陳述書 1
平成21年8月20日(木)
山岸 徹
T.ジオログの目的とその内容について
 
私は、自閉症の一種、アスペルガー症候群である。生まれつきの脳の障害である。
東京都から精神障害者手帳3級を交付された精神障害者である。
現在は鬱病で通院投薬を受け、投薬は一生続く予定である。
 
原告浅見淳子 原告浅見昇吾が主張するジオログの記事は、すべて私が書いた物に間違いはありません。
 
このジオログの目的は、現在自閉症の子供を育てている親たち、自閉症と診断され困惑している子供たち、社会に出て行く自閉症者、教育関係者、医療関係者、あらゆる自閉症に関係している人たちと、自閉症について考え、語り合い、少しでも何かに役立つ情報交換が出来ないかと、平成18年に始めたものである。
大学教授であり、心理士で、自閉症の専門家である辻井正次が勧めるような、誹謗中傷を目的として作った物では無い。(乙17)
 
私は、52才の成人男性でありながら、児童精神科を受診し、自閉症の判定テストを受け、複数医師による集中診察を受け、平成12年精査の上アスペルガー症候群と診断を受けた。妻も同様の手続きを踏み、平成13年アスペルガー症候群の診断を受けた。後日、このクリニックによる論文によると、成人受診者450人のうち、過去に自閉症の診断を受けた成人3名、過去に自閉症の診断を受けていない成人2名、合計5名がアスペルガー症候群の診断を受け、内2名は夫婦であると発表された。
つまり、過去に全く自閉症と診断されず、アスペルガー症候群の診断を受けたのは、私達夫婦だけであった。
 
自閉症は、知能指数70未満をカナー型。70以上140上迄をアスペルガー症候群という。(私のテスト当時の知能指数115、妻129)
私達夫婦以外の3名は、児童の頃、すでに自閉症と診断を受ける位であるから、知能はさほど高くなく、社会性も乏しいと思われる。
 
実際、社会人として就職し、一般的な会話が出来るアスペルガー症候群に出会う機会は全く無く、私達夫婦以外で、職業に就き社会人であるアスペルガー症候群の大人に出会ったのは、ジオログで知り合った1名だけである。その他3名ほど診断を受け、診断書を持っていると言う人間がいるが、遠隔地の為、会った事は無い。
それ程、ある程度の社会経験を持つ、アスペルガー症候群の大人というのは、少ない。それを裏付ける記述が、「新潮45」2003年2月号にある。(乙20)
それによると、 【診断・判定を受けた約1千人の患者のうち(診察ではない)、結婚年齢に達している成人の「アスペルガー症候群」の人も20~30人。約半分は大学を卒業、中退者を含めると7割に達し、大学院まで進学した人も少なくない。
ただし、このうち就職している人は3人、結婚できた人は1カップル(「アスペルガー症候群」同士での結婚)しかない。】 この文章の中での、就職している3人のうちの2人、結婚できた1カップルとは、私達夫婦の事である。(乙20)
 
私は、今育ちつつあるアスペルガー症候群の子供達、自閉症の子供を持ち悩む親、
これから、社会人として働く事になる、アスペルガー症候群の生徒、学生の為に、
平成14年 自閉症カンファレンスに於ける 講演内容 山岸徹
平成14年 自閉症カンファレンスに於ける 寄稿 山岸美代子
平成14年 自閉症カンファレンスに於ける 寄稿 山岸徹
平成16年 東京都通所研究会に於ける   講演内容 山岸徹
平成16年 東京都通所研究会に於ける   寄稿 山岸美代子
平成16年 論文集「自閉症と発達障害研究の進歩」2004/Vol8 寄稿 山岸美代子
等の講演記録、寄稿文を掲載、さらに、私達の体験を話し合う場として作ったのである。
 
記事の量は、3000ページにも及ぶ膨大な物になり、さらに現実に子供を育てている母親達の貴重な証言をも得る事が出来た。海外の翻訳論文の理論と、私達、自閉症と診断を受けた者の、実際の行動を検証すると、必ず「ニキ・リンコ」が、自閉症の理論と矛盾する存在として浮き彫りになる。私自身「もしニキ・リンコが自閉症ならば、私は自閉症では無い」と感じていたし、「ニキ・リンコが自閉症なら、うちの子は違う」という人たちが集まって来た。(乙21)
 
自閉症の理論、その理論を裏付ける私達のエピソード、それに触発された、母親達の発言。自閉症について何か有益な事が分かるのでは無いかと期待が高まると、
それをさせまいとする様に、論点をうやむやにしようとする様に「ニキリンコを擁護し、私達を非難するコメント」が入る。論点がはぐれ、話がうやむやになると、しばらくは静かで、しかし再び自閉症のエピソードで話が盛り上がると、必ず邪魔が入った。同様のコメントは今でも同じ様に入る。(乙22)
 
話の腰を折られてばかりいると、ストレスが溜まり、ニキ・リンコの悪口を書く。すると少しの間は静かになる。これを繰り返している内に、ある法則に気がついた。
ジオログは、1画面に10件の記事が載る。毎日自閉症の話を書いている。画面から「ニキ・リンコ」という単語が消えると、私を挑発する様に「ニキ・リンコ」擁護のコメントが入る。私が、善し悪しは別として「ニキ・リンコ」を話題の中心に据える。すると静かになる。11日経って、「ニキ・リンコ」と言う単語が画面から消えると、また嫌がらせのコメントが入る。
 
そこで、予め「おふだ」という形で、「ニキ・リンコ」「泉流星」を自閉症の代表とするグループに関して調べ上げた情報の記事を作り、10日毎に3回記事を載せる事で、嫌がらせコメントを減らす事が出来た。甲1号証で繰り返し同じ記事を証拠としているのは、この「おふだ」の繰り返しを指している。
 
しかし、ある時期から、「おふだ」があっても、挑発するようなコメントが幾つも入る様になり、その挑発に乗った形で、感情的な言葉を書き「おふだ」に追加した事も事実である。しかし、その感情的な発言の背景には、全国でも本当に数少ない話せる相手と、自閉症の貴重なエピソードについて、語っている時に入る、執拗に挑発するコメント、話の腰を折るコメント、嫌がらせのコメント、全く非論理的なコメントの存在がある。(乙22)
 
4月6日突然のジオログ公開停止、突然の刑事告訴(4月20日)、突然の民事訴訟(5月1日)及び刑事告訴準備通告書(5月1日)には、驚いた。
 
本件民事訴訟に於いては、原告浅見淳子がパスポートを提出し、甲3号証左側の人物と浅見淳子のパスポート本人の一致を見れば、私の「泉流星=ニキ・リンコ=原告浅見淳子」の主張は即時崩れる。此の場合、私は、素直に私自身の非を認め、謝罪する事に吝かでは無い。しかし、本人を確認するのに最も簡単な、公的書類(パスポート)の提示を執拗に避けるのは、何故か。
徒に時間を無駄にすることなく、簡単に決着が付くのであるから、パスポートの提示をそれ程まで、拒否しなくても良いのではないか。
しかし、甲3号証との不一致を恐れ提出を拒否しているのならば、無為に時間を費やさない為にも、裁判官に文書提出命令を発令願いたいし、仮に、原告浅見淳子と甲3号証左側の人物とが、一致しなければ、不当訴訟であることを、裁判官に訴え出たい。
 
前回の口頭弁論(7月10日)の後、平成21年7月22日(水)日本テレビ、世界仰天ニュースpm9:00~「泉流星」の特別番組があった。私が、「泉流星」と「ニキ・リンコ」のほくろの位置が同じであると、写真入りでブログに公開し、「泉流星」「ニキ・リンコ」原告浅見淳子と同一人物であると、主張している、その当事者だ。
その放送以前、3月頃からブログの削除は7度に及び、ブログランキングのランキング外しも6.7度に及んだが、6月9日を以て突然終息した。
番組完成、放送決定迄の、引き延ばし工作であったと考えるのが合理的である。
 
同様に私のブログの記事を裏付ける記述が多く存在する、「ニキ・リンコ」の日記も平成21年に入り突然の消滅。自閉症の子供を持つ親も、その手法を訝っていた。(乙21の1)
この日記には「就学前健診でひっかかり、公立に入れると特殊学級を勧められてしまう、と考えた母が、私学をお受験させて、普通学級で優等生を通し、高校までは、外からわかる困難など何一つなく育ちました」等辻褄が合わない記述が膨大にあった。就学前健診の時点では、私立のお受験はとっくに終わっている。
「ニキ・リンコ」の日記は平成21年4月4日からまた突然再開。
消滅した日記の内容は、自閉症とする以前に、「ヒト(Human)」として、矛盾に満ちた内容である。(乙23)
ブログ及びランキング削除:4月6日、4月19日、4月27日、5月8日、5月17日、5月18日、5月19日、5月20日、5月21日、6月4日、6月9日、その他ランキング外しは日常。(確認出来た日にちのみ)
原告側代理人落合洋司弁護士は2000年9月から2007年3月まで、ヤフー株式会社(法務部)勤務経験あり。
度重なるブログ及びランキングの削除により、それまでコメント欄を通じて知り合った自閉症関係者とは連絡が途切れ、自閉症への探求心を中心としたネットワークはズタズタになり、現在では、必ず入る嫌がらせのコメント以外、記事に対するコメントもほとんど入らなくなった。(乙22の2)
 
何れにしても、「泉流星」「ニキ・リンコ」「原告浅見淳子」「原告浅見昇吾」花風社の話題を中心に、私のジオログは翻弄されたのである。
 
ちなみに、甲号証のジオログは、5月18日am10:00に一旦公開停止が解除された。この時、前出の講演記録、寄稿論文、写真類は全て削除されていた。さらに、同日pm4:00、再度公開停止措置が取られ、現在も公開停止のままである。文書データの引き渡しをヤフー側に頼んでも、返答は一切無い。
 
 
U.自閉症の変遷と自閉症をとりまく時代背景について
 
昭和43年11月22日(金)pm7:30〜pm8:00 NHK「現代の映像」で貴重なドキュメンタリーが放映された。  題名:『太鼓と少年』
 
番組の内容は、小学5年生の男の子が主人公。赤ん坊の時、呼びかけに応じないので、両親が耳が聞こえないのではないかと心配した事。でんでん太鼓の音には反応するので、耳は聞こえると分かった事。知恵遅れとして特殊学級に通っているが、一般的な知恵遅れとは違う事。これが「自閉症」という障害であるらしいと言う事。
恐らく、日本で初めて「自閉症」が紹介されたドキュメンタリー番組であった。
当時は、「自閉症」も知恵遅れの一部であり、他の知恵遅れの子供たちと一緒に扱われていた。勿論、学問的に「自閉症」を捉える動きは全く無く、児童を扱う精神科医の間でも「可愛い顔の子供は自閉症だ」としか認識出来ない状況だった。
一方英国では、ローナ・ウイングが昭和46年(1970)からこつこつとデータを集め始め、昭和63年(1988)ついに自閉症の「自閉症」という概念化に成功し発表した。L.Wing(1988)'The continuum of autistic characteristics',in E.Schopler and G.B.Mesibov(eds),Diagnosis and Assessment(New York:Plenum Press)
 
昭和63年(1988)の発表をきっかけに、幾つもの論文が発表され、関連が付き、自閉症を的確に捉えられるようになった。平成2年(1990)代になり、立て続けに、世界的に認められた自閉症の論文が、日本語に訳され、数人の精神科医によって広められ始めた。
 
平成10年(1998)私は、酷い鬱病で、ほとんど寝たきり。ある仕事は自然消滅による廃業。機械設計の仕事は、名目だけ残しているものの、現実には無職同然であった。私の事を心配した妻は、私が小学6年生の時に見た自閉症のドキュメンタリー番組を克明に記憶している事。同番組を見て、「私(山岸徹)も彼の仲間だ」と強く考えていた事、妻本人に対して「あなたは、多分自閉症の軽いタイプだと思うよ」と決めつけていた事を思い出し、自閉症に狙いを定めその障害について調べ始めた。
 
平成10年(1998)当時、日本では、自閉症は子供の障害、疾病であり、大人を診察、診療、テスト、診断する医療機関は何処にも見つからなかった。
平成11年(1999)9月、新設の児童向けクリニックと交渉の結果、1年以上待つ事が条件で、診察の予約を2人分取り付けた。
 
妻は、診察の予約だけでは飽きたらず、講演会などにも出席していた。
そして、ある噂を聞きつけてきた。「ニキ・リンコと言う自閉症で、翻訳家の女性が居るらしい」自閉症の翻訳家と言うことには別に驚かない。しかし、下訳や、社内文書の翻訳ではなく、一般文芸書の翻訳を職業として成立させ、さらに、今度作る自閉症のテレビドラマに、制作スタッフとして参加していると言う。通常の優秀な人間でも、滅多な事では係わる事の出来ない職場に、外部スタッフとしても、上手く就職出来た自閉症が居る事を聞き大変驚いた。(乙24)
 
平成12年10月10日(火)NHK教育テレビ「にんげんゆうゆう」pm8:00〜pm8:30に「ニキ・リンコ」が出演した。当然その、高い社会性に注目した。
 
番組の内容は以下の通り。
「ニキ・リンコ」は35才。2年前(平成10年)アスペルガー症候群と知った。
ごく身近な人にしか障害の事を明かしていないので、カツラとサングラスで変装する。(乙25)人と話すのが苦手なので、筆談でインタビューすると言う。
机を挟んで対談開始。対談する相手は、直接「ニキ・リンコ」に話し掛け、「ニキ・リンコ」は、パソコンディスプレーにて即答する。その入力の早さは物凄く、それもかな文字入力で入力即答。
【パソコン上で簡単に答えられるのに、敢えて声を出さないと言うのは、声で正体がバレない様に、声を出さずに、テレビ出演をする為の、演出としか思えない。番組内でコメントをした竹田契一(乙26)は、「ニキ・リンコ」の事をお喋りだと語っている。また、通常多くの人は英文字(ローマ字)入力を使用し、和文入力オペレーターの様な、特殊な職業の人でない限り、かな文字入力を使用しない。英文翻訳を職業とするはずの「ニキ・リンコ」が、かな文字入力を使い、それも熟練した早さであると言う事は、不自然、非合理的である。】
 
自分の弱点を克服するため、数学と化学が苦手な「ニキ・リンコ」は敢えて、理学部へ進学、3年で中退した。
【掲示板にF8の名前で大学に8年在学とある。8年在学するには、残りの1年で卒業可能な単位数迄、修得済みという事になる】(乙27)(その他矛盾は割愛)
 
専門家の診断を受けたとのナレーションの後、大阪教育大教授 竹田契一が登場。(乙26)「ニキさんは、この研究室に来ても私の顔を覚えられない。だから『多分』アスペルガーだろうと」と発言。
【この竹田契一は医者では無いため、疾病である自閉症の診断を与える事は出来ない。】
 
「ニキ・リンコ」は、自分がアスペルガーと知ってから、身体を揺すったり、頭を振ったり、手首を振ったり、自閉症の行動を積極的に取り入れてから、落ち着くようになった。手首を噛むとショックを静め、パニックが収まるので、手首を噛むと電話で仕事の対応が出来る。
 
レポートの後、杉山登志郎が解説。
アスペルガー症候群は外見からすると理解しにくい。
【番組内の「ニキ・リンコ」は明らかに異様な状態で、外見で障害者とすぐ分かる】
 
第一に『正確な診断』、第二にイジメ防止で社会的行動が身につきやすい。
しかし、障害の代わりに才能を発揮する例がある。大江健三郎の息子、大江光さんは自閉症の障害者であり、作曲に豊かな才能を発揮している。と言う。
【この発言の中に潜む、大きな矛盾については後に述べる】
以上が番組の主な放送内容である。
 
これは、ドラマの制作スタッフに潜り込む、高い社会性を示す自閉症像とは全く異なり、一般的な障害児施設に居る「自閉症児」の様子を模倣しただけの自閉症像であった。
平成12年10月10日ニキ・リンコがNHK教育テレビに出演してすぐにその悪影響は出た。「ニキさんが「自傷」でストレスに対応している部分を見て我が子が取り入れ、手を傷だらけにするのを見るのは何とも言い難い複雑な気持ち。(東京・母)」(日本自閉症協会の会報いとしご2001年より抜粋)
 
自閉症は長い間、明確な診断基準も無く、他の知恵遅れの子供達と一緒くたに扱われ、「この子は顔が可愛いから自閉症だ」と区別する位しか術が無かった。
平成2年頃から、海外文献が紹介されるようになって、ようやく、
「自閉症」は生まれつきの脳の障害で、親の育て方とは関係ない事。
言葉によるコミュニケーションが難しいが、同程度のコミュニケーション能力の知恵遅れの子供に比べ、知能が高い事。集団生活に向かない事。
自閉症の特性に配慮した教育を施すと、想像以上の知的な発達が見られる事。
何より、知能指数100以上のグループにも自閉症がいる事(アスペルガー症候群)が分かってきた。
 
平成11年頃には、医療現場からの働きかけで、教育現場でも自閉症について新しい考え方をする人たちが出てきた。昭和41年から始まった特殊学級での、知能指数だけで切り分けた教育方法から、自閉症だけは分けた方が良いのでは無いかと、議論され始めた。
 
ところが、平成12年10月10日「ニキ・リンコ」がNHK教育テレビに出演し、さらに、「ニキ・リンコ」こそが自閉症のモデルだと主張する、
特別支援学級推進者(竹田契一:大阪教育大学名誉教授)(乙26)
児童精神科医(杉山登志郎:あいち小児保健医療総合センターの心療科部長兼保健センター長)
心理士(辻井正次:アスペ・エルデの会CEO、中京大学発達臨床心理学教授、浜松医科大学精神科子どものこころの発達研究センター客員教授)のグループが出現してから、突然自閉症を取り巻く環境が180度変わった。
 
杉山登志郎氏は、NHK教育テレビで「ニキ・リンコ」自閉症について解説した人物である。彼は、番組の中で、「第一に正確な診断」と言いながら、「ニキ・リンコ」については、「私の自閉症のお友達の、ニキ・リンコさん」というスタンスで、論文に紹介し、その診断の有無についても一切答えない。大江光氏の事も、簡単に自閉症と決めつけていたが、福島章氏(精神科医)は、大江光氏について、頭蓋披裂をともなう脳障害としている。(乙28)
自閉症についても、生まれつきの障害と言う一方で、虐待的な環境で育つ事が、
積極奇異型(アスペルガー症候群の一つのタイプ)になると言う。(乙29)
この様に、自身の発言に如何なる矛盾があろうとも、全く意に介さない人物である。
ちなみに、彼は私と全く接触も無く、診断をした事もないのに、私の事を「偽アスペ」(アスペルガー症候群の偽物)と誌上診断、断定した。(乙30)
辻井正次氏は、自閉症の患者、家族の会を運営しながら、熱心にイルカの療法を広めようとしている人物である。(乙31)
「ニキ・リンコ」の悪影響を素直に発表した、日本自閉症協会も、追随するように、会報誌「いとしご」にて、「ニキ・リンコ」の特別寄稿を載せ、それを契機に「ニキ・リンコ」の連載を始めた。(乙32)
不思議な事に、日本自閉症協会、日本自閉症協会東京支部のホームページは、私が契約している大田区ローカルのプロバイダでは、アクセス拒否に遭い、問い合わせ等一切出来ない様、門前払いの設定がされている。
特殊学級の子供達の中でも、「自閉症児」は別に扱った方が良いのでは無いか、という考えは、一夜のうちに消え去り、
 
「子供達の中には、発達の遅れのある子供が居る」
「知恵遅れの子供もそうだし、LD(読字障害)の子供もそうだ」
「ADHD(多動、落ち着きの無い子供)もそうだし、自閉症もそうだ」
「これら、発達に障害のある子供の事を広汎性発達障害という事にする」
「多くの広汎性発達障害の子供には、支援と特別な教育が必要である」
「発達障害の子供を相手にする教育法を療育と言う」
「発達障害でも専門の療育を施せば、将来犯罪を犯す事は無い」
「最近多く発生する発達障害の子供の事件は専門の療育をしなかったからである」
結果、
「だから、発達障害の子供を集め、皆一緒に同じ療育、即ち特別支援教育を施す事が良い事である」となった。(乙26の2)
 
昭和41年から始まった特殊学級教育の中で、35年もの長い時間を費やし、手探りの中、平成11年頃になりようやく、自閉症児は別の扱いで教育した方が良いのでは無いかと言われ始めていたのが、「ニキ・リンコ」の登場と共に、また元の、
みんな発達障害。自閉症も発達障害だから、みんなと同じ特別支援教育を施そう。
特別支援教育の専門家を育てよう。特別支援教育の専門職になるには、認定された会が主催したセミナーをポイント制にし、ポイントを満たせば、各種団体が認定する資格を与えよう。となった。
 
自閉症児を持つ親たちは、自分たちの子供がどういう障害なのか。
どの様に扱ってやれば良いのか。どんな将来があるのか。全く知らされず、分からないまま、数多くのセミナーと、その会費を払う教師、看護師の枠組みだけが出来上がってしまった。勿論、そのセミナーでの主賓は「ニキ・リンコ」であり、「浅見淳子」、さらに「ニキ・リンコ」を自閉症のサンプルモデルとする医者、心理士達である。(乙33)
そして、「ニキ・リンコ」の登場から9年経った現在、「ニキ・リンコ」「泉流星」をサンプルとする考え方がほとんどである。日本では、自閉症の専門家は少なく、自閉症学会は医学界では、学会と認められていない状態なのである。
 
 
V.公共の利害に関する事実
 
平成12年10月10日ニキ・リンコがNHK教育テレビに出演してすぐにその悪影響は出た。「ニキさんが「自傷」でストレスに対応している部分を見て我が子が取り入れ、手を傷だらけにするのを見るのは何とも言い難い複雑な気持ち。(東京・母)」(日本自閉症協会の会報いとしご2001年より抜粋)
現在はさらに状況は悪化し、インターネット上に発表するリスクを恐れずに、悪影響を発表する母親も出てきた。(乙14)自閉症児の母親は、教師や、医者、養護関係者に子供を人質に取られているような状態だから、本音をなかなか言えない。
ここまで、あからさまに発表する母親が出てきたという事は、「ニキ・リンコ」の悪影響を受けている子供たちはその数倍から数十倍以上居ると考えられる。(乙21)
 
第(U.)項で述べた時代背景の中で、自閉症児や親たちはどう見られてきたか。
抱き上げても反っくり返り嫌がる乳児。呼んでも振り向きもせず何かに夢中になっている幼児。話し掛けても返事もしない小学生。そんな子供を見て、誰もが思いつく考え、「スキンシップが足りない」「優しい話しかけが足りない」「きちんと子供の目を見て、子供の気持ちにならないからこうなった」「親の育て方が悪い」
過去自閉症児を持つ親は、医者、保健婦、看護婦、産婆、教師、親兄弟、舅姑から、
「親の育て方が悪いから、自閉症になった」と言われ続けてきた。
現在でも、そう言われる事がある。
しかし、昭和63年ローナ・ウイングが、自閉症の事を科学的に証明して初めて、
「自閉症は生まれつきの脳障害で、疾病である」
「完治する事は無いが、速度は遅くとも、知能成長に応じて発達する」
「自閉症は親の育て方とは関係がない」
「知能が高く、しゃべる自閉症も居る」と、日本でも認知される様になった。
 
ようやく、親たちは、「自分の育て方が悪かった」と言う呪縛から解放された。
 
ところが、「ニキ・リンコ」とそれをサンプルとするグループが出現してから、また状況が悪くなった。「自閉症は発達障害である」「発達障害は専門の早期療育を施せば発達が改善される」「自閉症には早期療育が必要である」「特殊教育ではなく特別支援教育が必要である」(乙26の2)(乙34)
 
「親の育て方」から解放されたはずの、自閉症児を持つ親たちは、早期療育という育て方をしなければ、子供の為に良くないと、また「育て方」の呪縛に囚われる事となった。その結果は(乙14)の通りである。早期療育の推進者である杉山登志郎は、自著の中で「積極奇異群(自閉症のタイプの一種)は、虐待的家庭環境にあるのが原因でなる」と主張している。(乙24)彼は、ローナ・ウイングの「自閉症は生まれつきの障害」を引用しながら、「虐待的家庭環境で積極奇異群になる」という論理に、矛盾を感じない医者である。
 
私は、「有名だから正しい」とか、「テレビに出たから間違い無い」という事ではなく、ただ純粋に科学として、事実としての自閉症を、なんとか知らせたい。
自閉症児、自閉症者とその家族に、自閉症の真実、自閉症の科学、自閉症の最新の理論を公平に伝えたく、ジオログに論文を載せ、自閉症の実際のエピソード、
自閉症について考える場を持った。
 
「ニキ・リンコ」は本名も分からず、誰が診断したか、誰ひとり明かさないのに、障害者代表として(甲4)に見る通り、内閣府主催の中央障害者施策推進協議会委員を務め、障害者行政の施策立案に携わっている。障害を持たず、商売のために障害を偽っている人間が障害者代表として、政府の委員を務めているのである。「ニキ・リンコ」を演じているのは原告浅見淳子であり、その存在に欠かす事の出来ない人物が原告浅見昇吾なのである。(後に述べる)
 
訴状に記述は無いが、原告浅見昇吾は池田大作氏が毎日新聞上で引用するほどの
著名翻訳家であり、沢木昇という筆名でも多数翻訳がある人物である。
原告浅見淳子も自称翻訳家であり、沢木あさみという筆名も持つ。
そして、その後翻訳家「ニキ・リンコ」が登場してきた。
 
花風社の販売戦略は、数少ない自閉症教育関係者を共著出版という形で取り込み、学生、OB、親、教師などへの販売を促進させるのである。(甲3)にて、原告浅見淳子について証拠作成に協力した岩永竜一郎も、花風社より本を2冊出版している利益関係者である。NHK「トップランナー」や「プロフェッショナル」でも取り上げられた、自閉症の世界では大変有名な服巻智子も、同様に花風社から書籍を出版し、さらに花風社の書籍を販売する事で、相互に利益関係が成立している。
この様に、自閉症の子供を連れて相談に行った現場では、必ず花風社の書籍を薦められ、不安に駆られる親たちは、先ず「ニキ・リンコ」「泉流星」の本を買うのである。この様な形で、内容を問わず、安易な形で自閉症の子供を持つ親たちの手に、花風社の書籍が渡され、その内容を信じたが為に、(乙14)のような悪影響が出ているのである。
私は、自閉症の事実を知るために研究し、「ニキ・リンコ」が自閉症であったとしたら、理論的に矛盾があるか無いか。あるなら、一体何処に矛盾があるか。
「ニキ・リンコ」がどうしても、自閉症で無ければ困る人物が居るのか。
「ニキ・リンコ」が自閉症である事で、特別な利益を得る立場の人間が居るか。
私が出来る範囲で、調べ、それを公表したのである。
当然、公表する前に、関係医療機関、報道機関、出版社に問い合わせをしたが、
一切返答は無い。杉山登志郎、辻井正次等に、掲示板等で何度も公開討論を求めても返答は無い。(但し辻井正次は、平成21年8月7日(金)付け内容証明郵便にて、名誉毀損で訴えると連絡あり。)
そして、その中で分かった事、見えてきた事を随時ブログに載せた。
ブログ上で記名記述した相手は、すべて「公人」としての立場を持つ人間の、
「公人」としての行動について記述したのである。
 
 
平成13年7月頃、2ちゃんねるという巨大掲示板に、原告浅見淳子に関係するスレッドが複数存在していた。主な内容は、花風社が入居していたビルオーナーへの非難と、逆に花風社、ネットパブリッシング、原告浅見淳子への非難の応酬であった。原告浅見淳子は時として、自ら名を明かし書き込んでいた。そのやりとりの中で、原告浅見淳子の身体的特徴として、小柄、ハゲ、カツラの常用が書き込まれていた。花風社の代表的翻訳家である「ニキ・リンコ」は、平成12年10月10日NHK教育テレビ「にんげんゆうゆう」に出演した。(乙7の1)
「ニキ・リンコ」は自閉症掲示板に「まだらハゲである」「時にスキンヘッドに剃り上げる」「NHK出演時には市民運動をしているのでカツラとサングラスで変装した」「親に自閉症であることを言っていないので知られたくないから変装した」等、書き込んでいた。若い女性で禿頭であり、小柄である人物は非常に少ない。
それが、同じ出版社に関係している。
これらの記述から、原告浅見淳子と「ニキ・リンコ」が同一人物であると分かった。
 
花風社の代表的翻訳家であり、ノンフィクションライター、さらに花風社プロデュースで別会社より出版多数の「泉流星」もやはり平成18年5月29日NHK教育テレビ「ハートをつなごう」に出演した。(乙8の1、2)この人物も、もみあげが無いことからカツラと分かる。さらに、(乙9の1、2、3)の写真を見比べるとほくろの位置、カツラ等から同一人物と見える。よって原告浅見淳子と「ニキ・リンコ」「泉流星」が同一人物であることが分かったのである。
 
「ニキ・リンコ」は医学論文に引用されているから、その本名は簡単に分かるだろうと考え、出演したNHK、引用した医者、出版社等、考えられる所全てに問い合わせた。しかし、現実には何処も答えることなく、質問自体を黙殺された。花風社には内容証明にて問い合わせたが、(乙10)誠意ある回答は得られなかった。(乙11)
「ニキ・リンコ」が講演先で本名を尋ねられた場合には、「福本珠緒」、「フジモトフジオ」と相手によって異なる本名を教えている。
 
大阪教育大学竹田契一教授関係のセミナーからの写真、平成18年7月23日大阪での容姿(乙12の2)と平成18年11月18日釧路での容姿(乙13の2)は別人に見える。(乙12の2)は前頭部のはげ上がり方から見てハゲに見える。一方(乙13の2)は襟足の生え方が非常に自然であり、カツラには見えない。(甲3)(乙12の2)は同一人物に見えるが、(甲3)(乙13の2)は同一人物に見えない。この様に「ニキ・リンコ」は本名も複数あり、容姿も複数ある。
 
《自閉症は生まれつきの障害である。としていながら、育て方(早期療育)で自閉症が改善する。》論理に根本的な矛盾があるのだが、自閉症を持つ親たちの不安をあおり、一斉に親たちを早期療育へ追い立てる。それを裏付ける形で、「ニキ・リンコ」の伝説がまことしやかに垂れ流された。「公園で偶然拾った英字新聞を見たら、自分が英語を使えることに気がついた、そして翻訳家になった」「スタートレックのビデオテープをすり切れるほど見たら、知らないうちに英語の台詞を全部覚え、英語が出来るようになった。それで3ヶ月で翻訳家になった」
私達夫婦は、彼らの論理性の矛盾もさることながら、自閉症の子供達が、この話を真に受け、毎日英語のビデオテープを見続け、翻訳家になれるのではないかと努力し、何年か後、現実には何の役にも立たなかったと気付き、或いは、自分の能力の無さを思い知った時、どれほど絶望するか、それを考えると、怒りを抑えることが出来ない。今でも、「アスペルガーは翻訳家に向いている」とまことしやかに喧伝され、しかし、現実は、一般の国立大学卒業者でも、憧れの翻訳家になる事は困難の極みであり、自閉症という障害を持っている子供達が、翻訳家になる事は事実上不可能なのだ。「ニキ・リンコ」の、この手の伝説は枚挙にいとま無く、現実にカナー型の自閉症の子供を持つ親にとって、今でも憧れ、目標となっている。(カナー型:知能指数70未満の自閉症、アスペルガー症候群:知能指数70以上の自閉症)
 
この様に自閉症の世界には、海外の書籍から得られる論理的に破綻の無い自閉症と、現在マスコミ、テレビ等で広められている、「ニキ・リンコ」「泉流星」に代表される非論理的な自閉症像が存在しているのである。
 
 
W.公益を図る目的
 
上記の様に、「ニキ・リンコ」、「泉流星」の書いた本は、無条件で受け入れられ、参考書として、障害者に携わる現場、精神科医の間で広く使われている。
私達夫婦は、自分の立場を明らかにする為に、児童精神科医に頼み込み、1年半待ち、さらに半年以上に渡る問診を受け、検査を受けて始めてアスペルガー症候群と診断を受けた。
 
一方、「ニキ・リンコ」、「泉流星」は本名も定かではなく、診断の有無も明確ではなく、さらに、誰に診断されたか、検査を受けたかどうかすら分からない。にも係わらず、杉山登志郎という医者は、「自閉症のお友達のニキリンコさん」というスタンスで、医学論文に引用したりする。インターネット上では、私の発言は合併した精神疾患から来る妄想とされている。(乙15)NHKを始めマスコミ各社、医者その他、私が問い合わせた先からは、一切回答を得られない事からも、私の妄想だという話はかなり広く言い立てられているようである。
さらに、私は前出の杉山医師から、「偽アスペ」と勝手に誌上診断されている。(乙30)この様に、現実の世界で、結論を得ようにも、全て私の発言は黙殺されている。さらに、平成13年に私の疑念をある自閉症の掲示板に書き込んだところ、自閉症療育の第一人者として有名な辻井正次から、中傷するなら、自分でホームページを作るように勧められた。(乙17)
そこで、誹謗中傷や、当て推量の自閉症サイトではなく、事実を事実として、自閉症関係者が意見を交換する場として、ジオログに発表の場を作ったのである。
 
「ニキ・リンコ」擁護の第一人者であり、早期療育推進者の辻井正次は、アスペ・エルデの会CEOであり、日本ドルフィンセラピー協会理事長であり、イルカ療法の効果を、マスコミ、テレビで宣伝している。(乙31)
自閉症の研究が最も進み、その環境も最も整備されている英国の、
ローナ・ウイングは自著にこう記している。
 
もちろん親は、害になる可能性が無く、倫理的に許容できるものであれば、どのような治療法でも試す権利があります。しかし、親は、自分たちの罪悪感や絶望、そして、わらをもつかみたいという望みにつけこむ人たちに気をつけなければいけません。(英国の)全国自閉症協会は冊子を発行して、現在利用できる種々の「治療法」に関する客観的情報を提供していますが、これらの治療法をどれも擁護はしていません。
p282「自閉症スペクトル」親と専門家のためのガイドブック より抜粋 東京書籍
私は法律用語の「公益」について詳しく知る立場に無いが、私の行動は、私を含める「自閉症」の患者、家族、の人権、名誉を守る為の、「公共の利害に関する事実の公表」であり、言葉すら持たない自閉症の子供達を守る為の「公益」の為の行動であると信じている。
 
私は、自閉症についての真実が明らかになる事を望んでいる。英国ローナ・ウイングの論文による「自閉症像」が誤りであり、原告浅見淳子が多数出版している「ニキ・リンコ」「泉流星」が、真の「自閉症」であるなら、世界の常識を覆し、新たな日本初の「自閉症理論」が完成するだけで、それが、真実なら私は無条件で受け入れる。政治や商売、信者の獲得や組織化、新たな資格創設や資金集めには興味無い。只、それが自閉症の解明に役立ち、其処に真実がありさえすれば良いのである。
 
 
原告浅見淳子 原告浅見昇吾が、狡猾なのは、在来の常識であれば、言葉を持たない自閉症相手であれば、未開の医学の分野であることも相まって、何を言っても、何をやっても、証明のしようがない事を最大限利用している事である。
唯一私達夫婦が、言葉を持つ自閉症、アスペルガー症候群である事が誤算であったが、統計的にその組合せ自体が非常に稀である事を、全く論じず(乙20)敢えて話題をすり替え、「ニキ・リンコ」「泉流星」の様に、マスコミで活躍する自閉症になりたがる夫婦の「妄想」とする事で、簡単に封じ込める事が出来た。
さらに、「ニキ・リンコ」「泉流星」に関する情報は、個人情報保護を盾に、
原告浅見淳子、原告浅見昇吾が握る事で、絶対ばれる事の無い安全な嘘なのである。
 
訴状第4項にて、自閉症者の手記等、良質な書籍を世に出す事を目指すとする
原告浅見淳子は自身のブログでこう記述している。
「本業でバクチをやっているんだから、遊びまでバクチをやる必要ないもんね」
 
自閉症(アスペルガー症候群)という障害、疾病を持ち、精神障害者手帳3級を持つ私、山岸徹としての調査能力では、ここまでの事実を調べ上げるのが限界である。
また、弁護士を付ける事すら出来ない私達は、外部調査機関等を使う経済力も無い。
公人である「ニキ・リンコ」「泉流星」原告浅見淳子の個人情報を握っているのは、原告浅見淳子、原告浅見昇吾でありながら、2000万円の名誉毀損損害賠償で訴えているのである。
名誉毀損を訴えるならば、先ず公人「ニキ・リンコ」「泉流星」原告浅見淳子の最低限の個人情報を明らかにする責が、原告側にこそあるのではないか。
 
以上が私の中にある真実のすべてです。
 
万が一私達夫婦の認知が間違っていたとしたら、その認知能力は極端に歪んでいると思います。その時は何卒、精神障害者手帳1級交付に向けてお口添えお願い致します。
以上   山岸徹