ここから本文です。現在の位置は トップ > 地域ニュース > 大分 > 記事です。

大分

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

課題点検:09衆院選 医師不足(その1) 研修先、大分選ばず /大分

 ◇少子化で開業意欲も減退

 大分市中心部の産婦人科医院。出産に備えて入院中の若いお母さんには、車で1時間離れた旧佐賀関町などの在住者も少なくない。理事長の医師は「佐賀関をカバーしていた大分医療センター(大分市大在)が昨年度いっぱいで産科廃止となってから目立つ。臼杵に新医院が出来るまでは臼津地区のお母さんも多かった」と話す。

 県内でも実家に帰る「里帰り出産」がこれまでのスタイル。しかし、大分、別府、由布市と玖珠町以外は、産婦人科医1人あたりがカバーする女性数が全国平均を大きく上回り、里帰りしたくとも困難という。

 なぜ中心地以外に産科医院が増えにくいのか。理事長は「少子化がどんどん進む地域で、設備投資して開院しようという気になりにくいのでは。ただでさえ、医療ミス訴訟が起きやすく、産科に進む医学生自体が減った」とため息をつく。

 更に暗い影を落としているのが、04年度に変更された臨床研修制度だ。医学生が研修先を自由に選べるようになり、本県にとって重要な医師供給源である大分大医学部でも、学生離れが顕著に。01~03年度、研修先に母校を選んだのは計285人中165人と58%。制度変更後の04~09年度は566人中200人の35%と激減した。

 大学の医局が弱って直接打撃を受けるのは、地域の拠点病院。豊後大野市の県立三重病院と公立おがた総合病院の統合(来年10月)など、具体的な形で影響が出始めている。理事長は言う。「(地域での)開業医も拠点病院の勤務医が独立する形が多く、結果的には大きな影響がある」

 県も手をこまぬいているわけではない。医学生への生活資金貸与と一定期間の県内勤務でその返済を免除する制度などを設け、大分大付属病院など県内13ある臨床研修病院も今月1日、8回目となる学生向けの合同説明会(05年から)を大分市内で開いた。医師会は反対しているものの、県立看護科学大は一定の医療行為を担えるスーパー看護師(ナースプラクティショナー)の養成コースを08年度に設置。地方で解決の糸口を模索する動きも出ている。【梅山崇】

毎日新聞 2009年8月25日 地方版

大分 アーカイブ一覧

 
郷土料理百選
地域体験イベント検索

おすすめ情報

注目ブランド