2009年8月25日14時41分
政府は25日、「暮らしと社会の安定に向けた自立支援」をテーマとする09年の厚生労働白書を閣議に報告した。昨秋以降の経済・雇用危機を受け、「生活に困窮してしまわないうちに、再び自分の足で立ち上がれるよう手を差し伸べるのが重要」として、雇用と福祉の両面から安全網を整える必要性を強調している。
白書は、若者や高齢者、障害者ら労働市場で弱い立場にある人たちの現状を分析。09年の就職率・内定率が大卒、高卒とも低下▽08年度下期の障害者の解雇が上期比2.5倍の約2千人に▽母子家庭の母の就職率が08年度35%と前年度比で5ポイント低下――などを挙げ、今後さらに状況が悪化する恐れがあるとしている。
08年に全雇用者の34%、1760万人にまで膨らんだ非正規労働者については、「雇用削減を伴う調整が集中的に現れている」と指摘。非正規の失職者の3%が住まいを失い、生活や再就職が困難になっていることにも触れた。
こうした事態に対し、ハローワークでの職業紹介や失業給付、職業訓練などの雇用政策だけでなく、住宅支援や生活保護などの福祉政策も組み合わせ、就労に向けた支援をすべきだとした。具体例として、失業手当を受給できない人に職業訓練中の生活費を支給する新制度などを挙げた。
昨秋以降の雇用危機で安全網の貧弱さが露見し、政府は補正予算などによる対応を何度も迫られた。白書は「個人が能力を発揮し自立することは経済活力の維持にも重要」として、さらなる安全網強化が必要としている。