2009年08月23日
NEW!【速報&観戦記完全版】第4回全世界ｳｪｲﾄ制空手道選手権大会(主催/極真会館)
第4回全世界ｳｪｲﾄ制空手道選手権大会
日時/2009年8月23日
会場/幕張ﾒｯｾ
主催/国際空手道連盟極真会館
第4回空手道世界選手権大会が8月23日､幕張ﾒｯｾを舞台に繰り広げられました｡観客は開会時こそ7割程度でしたが試合が始まると(試合は予選を勝ち抜いたﾍﾞｽﾄ8以上が争われた)会場は予想外の超満員｡少なくとも極真会館に関しては｢格闘技不況｣や｢空手不況｣は関係ない様子でした｡
大会観戦記は同行した夢現舎ｽﾀｯﾌでｵﾔｼﾞの秘書である飯田さんが書いてくれました｡
[大会結果]
●軽量級[−70kg]
優勝/鈴木雄三(日本)
準優勝/松岡朋彦(日本)
第3位/ﾋﾟｮｰﾄﾙ･ﾓﾁﾄﾞｳｽｷｰ(ﾎﾟｰﾗﾝﾄﾞ)
第4位/ﾘｭｰｼﾞ･ｲｿﾍﾞ(ﾌﾞﾗｼﾞﾙ)
●中量級[−80kg]
優勝/森善十朗(日本)
準優勝/木立裕之(日本)
第3位/ｼｮｰﾍｲ･ﾔﾏﾓﾄ(ｱﾒﾘｶ)
第4位/ｱﾝﾄﾞﾘｭｰｽ･ﾅｶﾊﾗ(ﾌﾞﾗｼﾞﾙ)
●軽重量級[−90kg]
優勝/田中健太郎（日本）
準優勝/ｱﾚﾊﾝﾄﾞ･ﾅｳﾞｱﾛ(ｽﾍﾟｲﾝ)
第3位/ｴﾄﾞｱｰﾙﾄﾞ･ﾀﾅｶ(ﾌﾞﾗｼﾞﾙ)
第4位/ｺﾞﾃﾞﾙｼﾞ･ｶﾊﾟﾅｰｾﾞ(ﾛｼｱ)
●重量級[＋90kg]
優勝/ﾐﾊｴﾙ･ｺｽﾞﾛﾌ(ﾛｼｱ)
準優勝/ｻﾞﾊﾘ･ﾀﾞﾐﾔﾉﾌ(ﾌﾞﾙｶﾞﾘｱ)
第3位/赤石誠(日本)
第4位/ｸﾘｽﾄﾌﾊﾌﾞﾗｰｼｶ(ﾎﾟｰﾗﾝﾄﾞ)
[観戦記]
この大会は｢2009国際親善空手道選手権大会｣と題し､世界女子選手権､国際青少年選手権､国際壮年選手権､国際型競技選手権､ﾜｰﾙﾄﾞﾕｰｽｴﾘｰﾄ選手権…5大会と併設の形で開催された｡
これらの大会について1つだけ触れるならば青少年選手権だ｡
近年､各団体が競うように少年大会を開催している｡ﾌﾙｺﾝﾀｸﾄ系空手を学ぶ少年が増えているのは事実だが､各大会の主催者の本音は｢参加選手を増やせば､観客として選手の父兄や家族が確約できるし出場費と入場料だけで十分な商売になる｣という点に尽きるのではないだろうか!?
その証拠に殆どの少年大会はｵｰﾌﾟﾝ制にして各流派･団体から積極的に参加選手を募っている｡特に最近は｢参加選手1000名!｣などと大会規模を自慢する団体が急増している｡Mac某などという少年部専門(?)の団体などが存在感をｱﾋﾟｰﾙする一方で､試合内容の低ﾚﾍﾞﾙ化､何よりも審判の技量の拙さが著しく目立つ｡
Macが中心となって構成されるJCJAだかJSJCだか訳のわからない自称｢審判団体｣｢審判機構｣なるものがあるようだが､彼ら審判の杜撰さは明らかに酷い｡これを｢烏合の衆｣と呼ばずして何と表現すればいいか言葉が見つからない｡
彼ら主催者側の目的は審判の技量向上など大義名分に過ぎず単なる組織拡大のみにあるのがﾐｴﾐｴである｡こうしてMacなどは少年大会を｢お祭り｣にしてしまった｡
同じｵｰﾌﾟﾝ制でも少年大会で最も古い伝統と実績を持つ極真館主催の大会は別格である｡会場の雰囲気や審判の技量では新興勢力の大会と比較にならないﾚﾍﾞﾙの高さを堅持している｡
極真館主催の少年大会がｵｰﾌﾟﾝ制という課題を抱えながらも大会として｢武道｣の荘厳さを保っているのはひとえに30年にわたって少年部育成に心血を注いできた盧山初雄極真館館長の思想によるものだろう｡
新興勢力による少年大会の隆盛は結果的に｢育ち盛り｣の子供たちの勝敗に一喜一憂し､ｴｷｻｲﾄする保護者を急増させてしまった｡なんとも見苦しい光景である｡それが少年選手を育てるどころか潰す結果を招いてしまった｡
その点で極真会館の青少年大会は参加を極真会館所属に限定している点が特異であり評価できる｡少年大会の最大目的は選手が成長してから一般部にいかに繋ぐかにある｡子供ながらも｢極真会館の戦士としてのﾌﾟﾗｲﾄﾞ｣を選手たちが持ってるのが各試合から伝わってきた｡
青少年大会はｵｰﾌﾟﾝ制ではなく各流派や団体単位で行うことが大原則だということを改めて痛感させられた｡
世界ｳｪｲﾄ制選手権｡
軽量級(-70kg)､中量級(-80kg)､軽重量級(-90kg)､重量級(+90kg)の4階級で行われた｡予選は事前に行い､当日はみなﾍﾞｽﾄ8つまり準々決勝からの開始になった｡
軽量級は最初から日本選手の活躍が光った｡鈴木雄三､松岡朋彦という日本軽量級を代表する選手が外国勢の挑戦を一蹴し決勝戦に臨んだ｡
鈴木と松岡の対戦は昨年の第40回全日本選手権3回戦の再戦となった｡松岡は汚名返上を期すがごとく積極的に攻めるが一進一退のまま再延長戦にもつれた｡試合は微妙な判定となった｡若干手数で勝る鈴木がまたも松岡を制した｡松岡にとっては悔いが残る試合といえる｡
中量級は木立裕之と森善十朗が日本の牙城を守らんと初戦から積極的に動いた｡木立はﾍﾞﾃﾗﾝらしく相手の隙を突く絶妙のﾃｸﾆｯｸで順当に決勝に進んだ｡
一方､森は準決勝で前大会の覇者ｱﾝﾄﾞﾘｭｰｽ･ﾅｶﾊﾗ(ﾌﾞﾗｼﾞﾙ)を相手に苦戦を強いられた｡結局､試割判定で森が決勝進出を決めた｡
決勝戦｡本戦は明らかに木立が優勢だったといえた｡判定では副審が2人､木立に旗を上げたが主審の磯部清次が引分けとする｡延長戦に入りｽﾀﾐﾅの切れた木立を森は手数で凌いだ｡ﾍﾞﾃﾗﾝと新鋭の見事な試合だったといえる｡
それにしても､磯部の審判はｵｰﾊﾞｰｱｸｼｮﾝとｱﾋﾟｰﾙが目立ち過ぎ､見苦しい場面が度々あったことは否めない｡
軽重量級｡村田達也と田中健太郎が登場｡だが村田は初戦のｱﾚﾊﾝﾄﾞﾛﾅｳﾞｧﾛ(ｽﾍﾟｲﾝ)を相手に殆ど自分の組手ができずに完敗を喫した｡
田中は準々決勝こそ安定感のある組手で完勝したが､準決勝のｺﾞﾃﾞﾙｼﾞ･ｶﾊﾟﾅｰｾﾞ(ﾛｼｱ)を相手に苦戦を強いられた｡本戦から田中の劣勢は明らかで会場の反応は｢田中完敗｣の空気が支配的だった｡しかし主審･杉村多一郎は引分けを宣告｡
今大会最大のﾌﾞｰｲﾝｸﾞが沸いた｡この田中とｺﾞﾃﾞﾙｼﾞの判定にｸﾚｰﾑをつけるつもりはないが､杉村の審判としての優柔不断かつ技量不足が観客たちの顰蹙を度々買ったことは間違いない｡
決勝戦｡一転して田中とﾅｳﾞｧﾛは高度な試合を演じた｡前試合とうって変わり自分から前に出る田中の気迫がﾅｳﾞｧﾛのﾊﾟﾜｰを止めた｡試合はほぼ互角ながら最終的に試割判定で田中が辛勝した｡田中の気迫勝ちともいえるだろう｡
重量級｡昨年､第40回全日本選手権の覇者･谷口誠と5位の赤石誠が出場｡しかし谷口が初戦で敗退という波乱が起きた｡
相手のｸﾘｽﾄﾌ･ﾊﾌﾞﾗｰｼｶ(ﾎﾟｰﾗﾝﾄﾞ)は下段蹴りを主武器とする谷口を終始翻弄し続けた｡試合こそ再延長戦にもつれたが､谷口は最後まで｢何にもできなかった｣といってもいい｡あまりの不甲斐なさに会場から失笑が漏れた｡全日本王者としての自覚が欠如しているのか!? 自分の空手をｾﾞﾛから見直す必要があるだろう｡
一方､赤石は前世界選手権5位の強豪ｱﾝﾄﾞﾚｲ･ｽﾃﾋﾟﾝ(ﾛｼｱ)を相手に一歩も退かず手数で下した｡だが準決勝､昨年の全日本選手権準優勝者ｻﾞﾊﾘ･ﾀﾞﾐﾔﾉﾌ(ﾌﾞﾙｶﾞﾘｱ)の多彩な組手に惑わされて敗退｡
決勝戦はｻﾞﾊﾘとﾐﾊｴﾙの試合となった｡外国選手同士の試合としては珍しく突きと下段蹴りの我慢比べという単調な攻防が続いた｡結局､ｽﾀﾐﾅに優ったﾐﾊｴﾙが重量級を制した｡
ｻﾞﾊﾘら外国選手の空手は総じて上段回し蹴りや後ろ蹴りなど総合ﾃｸﾆｯｸに優れている｡しかし日本選手といえば突きと下段蹴りの手数争いという傾向が強い｡
軽･中量級こそ日本の独壇場だが､彼らのﾊﾟﾜｰが身体能力に秀でた重量級外国選手にどこまで通用するか? 懸念は残る｡
現在､日本空手界は大きな岐路に立たされているといえる｡故･大山総裁が主張し続けた｢倒す空手｣の再来…武道意識と技術革新なくして本家日本が外国勢を凌駕することは永遠に不可能だろう｡
記/MUGEN 飯田
gokuakunin15mei at 18:37│
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