【ワシントン大治朋子】米ワシントン・ポスト紙など複数の米メディアは20日、米中央情報局(CIA)が04年、米民間軍事会社「ブラックウォーター」(現ジー・サービシズ)に国際テロ組織アルカイダ幹部の暗殺を委託していたと報じた。実際に殺害したケースはなかったとされるが、法の規定に反し、米議会に報告せず進められた計画で、パネッタCIA長官は今年6月、中止を命じた。
報道によると、CIAは米同時多発テロの起きた01年、アルカイダ幹部の暗殺を計画。04年にブラック社に委託した。正式な契約はなく、CIAと同社の両幹部の個人的な合意で進められた。CIAは民間に「発注」することで、「問題が起きた場合も組織を守れる」と考えたという。
ブラック社は02年、アフガニスタンのCIA事務所の警備を受注。その後、CIAの対テロ担当の複数の高官が同社に天下りした。同社は07年、イラクのバグダッドで警備員が「攻撃を受けた」として市民17人を殺害し、問題視された。
米国ではCIAの秘密計画にも一定の規制があり、議会情報委員会への通告などが義務付けられている。しかし02年、当時のチェイニー副大統領が「CIAにはアルカイダ幹部を殺す権限があり、議会に報告する必要はない」と秘匿を命じたとの情報があるという。
毎日新聞 2009年8月21日 21時03分