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地域医療再生基金:病院再編など巡り、使途集約が難航 /鳥取

 国が新設した「地域医療再生基金」の使い道を巡り、県内の医療関係者の議論が割れている。医師不足が深刻化する中、議論は病院の再編や集約化にも及び、意見集約は難航しそうだ。

 基金は総額3100億円。厚労省は、1圏100億円を上限にする医療圏を全国に10、25億円上限とする医療圏を84設定して配分する意向。都道府県が10月までに計画案を提出し、国が設けた有識者による協議会の審議を経て来年1月に交付額を決める予定という。

 県が狙うのは、県東部と西部の2医療圏に25億円ずつ。中部医療圏の課題は、東部と西部とどう関連付けるかだ。県は、圏域の救急医療体制整備や県全体の看護師確保対策などをイメージしている。

 この50億円の使い道を巡って、県はアンケートや会議などで6月から医療関係者らの意見の取りまとめを図っている。

 病院長らから上がってくる声はどれも切実だ。7月30日に開かれた公的病院長や医師会との協議会では、県立厚生病院(倉吉市)の前田迪郎院長が「県中部の周産期医療をどうにか守ってほしい」と訴えた。同病院では昨年11月、4人いた産科医が3人に減少。もう1人が辞める意向という。「まるで(産科医の不在が問題になった)隠岐の島だ」と嘆いた。

 議論は病院の再編・集約化にも及んだ。鳥取大付属病院(米子市)の豊島良太院長は「県東部はこのままでは衰退する」として集約化を支持。「共倒れするより、集約して設備を整えるべきだ」と主張する。一方、「医者が少ないからまとめればいいというものではない。管理業務が増える」との反論も。集約に批判的な県東部の病院長は「大事なのは地域で診療を補い合う協力関係だ」と訴える。

 また、県社会福祉協議会の内海敏会長はソフト施策に焦点を当て、いわゆる“コンビニ受診”を避けるための啓発や食事改善の指導に基金を充てるべきと主張する。

 県は計画案提出期限の10月まで医療関係者の意見聴取を続ける意向。それぞれの事情で主張がぶつかり合う中、県がどう意見を集約し、計画をとりまとめるのか注目されている。【宇多川はるか】

毎日新聞 2009年8月20日 地方版

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