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公明 集票作戦フル回転

2009年08月20日

 ≪09総選挙≫

 ■学会員外「お友達」拡大狙う

 F取り――。「FRIEND(友人)」の頭文字を取った公明党・創価学会の作戦名だ。学会員ではない親類縁者、友人知人に投票を呼びかける活動を指す。今、お盆休み返上でF作戦が展開されている。

 「絶対に勝たないといけないんです。比例区は公明党にお願いします」

 19日午前、30度を超える日差しの中、手作りの日よけ帽で顔を覆った、ジャズシンガーで創価学会婦人部の芝山真知子さん(56)は、奈良市内のパン屋で経営者の女性に頭を下げた。女性は「公明さんは熱心で。いつもほだされます」とほほ笑んだ。

 2時間をかけ自転車で回ったのは、近所の商店や一人暮らしのお年寄り宅など9軒。必ず家族や親類縁者への声がけも頼み込む。

 一度の訪問で何票になるかは、相手の反応でほぼわかる。「今のお店、4票は大丈夫かな。選挙後にもお礼に行くので確認もできます」。ある店を出た芝山さんは自信をみせた。1日50票の手応えがあった日もある。05年の総選挙は、そんな積み重ねで声がけ先が千人に達した。「半分は、実際に投票してくれたはず」。1人で500票をたたき出した計算だ。

 「ドブ板選挙」というが、公明は芝山さんのような核となる運動員がフル回転してきた。党幹部によると、奈良市内に学会員はざっと7千〜8千世帯、1万4千〜1万6千人。奈良1区域で公明は過去10年、毎回2万票前後の比例票を獲得してきた。学会員数を上回る分がF作戦の成果だ。

 核となる運動員は、学会員の半分程度、7千人ほどという。この人たちが残る学会員を固めると同時に過去に手応えがあった先を訪ね歩く。

 過去7回の国政選挙で、県内の比例票が9万票を下回ったのは00年衆院選だけ。01年参院選では10万票を超えた。時々の風に流されず、自民陣営は「公明票は確実。のどから手が出るほどほしい」。今回、公明は当初、一部の小選挙区で自民候補への推薦を見送る姿勢も示したが、最終的に4人全員の推薦を決め、自民の各陣営を安堵(あんど)させた。

 しかし、芝山さんはいう。

 「F作戦で、自民候補への投票を呼びかけることはありません。私たち(運動員)は投票しますが」

 公明幹部は「公明票の8割は(自民に投票すると)保証する」というが、「半分から3分の1」との見方も。いずれにせよ、公明票が小選挙区の当落に大きな影響を与えるのは間違いない。(吉岡一)

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