日本の軍事費10年で3.9倍増、加えて134の米軍基地と4万人超える米兵駐留
テーマ:憲法9条・平和の問題前の2つのエントリー「軍隊は国民を守らない、軍隊の存在が国民の安全を脅かす」 「「軍事には軍事で」じゃなく他国との対話と共存こそ必要 - 憲法9条は戦争ふせぐ最良の方法」 に、たくさんのご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。
今回は、明治大学の山田朗教授の講演に関するところを、補足させていただきます。長時間の講演の中のほんの一部を、私が恣意的にまとめたため、不十分な内容になっていましたので、少し補足します。補足説明をしたいのは、以下のセンテンスです。(※それから、恐縮ですが、前提として山田教授の講演は、2006年1月に行われたものであること御了解ください)
「大事なことは、アジアにおける軍拡の連鎖を断ち切る必要があるということです。意外に日本国内では意識されていませんが、日本の軍事力というのはアジア諸国の注目の的になっています。日本から見ると北朝鮮や中国の方がどんどん軍拡しているというふうに見えます。確かに軍拡しているのですが、もとはといえば、日本の軍拡が口実になっているのです。だいたい現在の自衛隊の軍事力は、専守防衛を目的にしているにしては巨大すぎます。為替レートの換算の仕方によって多少の変動はありますが、日本の防衛費5兆円弱というのは世界で2~4位にランクされます。しかも、冷戦後各国が防衛費を減らすなか、唯一日本だけは横ばい、もしくは増えているのです。加えてアメリカ軍がいますからそれが中国や北朝鮮の口実にもなっているのですが、こうした日本の軍事力の状況が、アジアにおける軍拡の非常に大きな要因になっているのです。」
上記センテンスの「冷戦後各国が防衛費を減らすなか、唯一日本だけは横ばい、もしくは増えているのです」という部分ですが、直近のマスコミ報道を見ても、たとえば、『東京新聞』(6/9)の記事「中国軍事費/世界2位/08年849億ドル、10年で3倍増」で、「スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は8日、2009年版の年鑑を発表した。08年の中国の軍事費は前年比実質10%増の推定849億ドル(約8兆3千億円)で、前年から順位を1つ上げ、米国に次いで初めて世界第2位となったことを明らかにした。年鑑は、中国の軍事費がこの10年間で実質3倍に膨れ上がったと説明。経済成長に応じた伸びながらも、人件費増と兵器のハイテク化も、増加の要因だと分析した」と報道されています。
それに、日本の軍事費はここ数年微減しているのも事実です。しかし、ここで山田教授が主張されているのは、下のグラフの話なのです。
▼日本の軍事費の推移(1950~2007年)
上のグラフにあるように、「冷戦後」、つまりソ連が崩壊した1991年以降の日本の軍事費は、「横ばい、もしくは増えている」トレンドにあります。
そして、山田教授はその前段で、「日本から見ると北朝鮮や中国の方がどんどん軍拡しているというふうに見えます。確かに軍拡しているのですが、もとはといえば、日本の軍拡が口実になっているのです」と述べています。
つまり、北朝鮮や中国が、どんどん軍拡していることは前提とした上で、その口実になっているのが、「冷戦後」に先進諸国は軍事費を減らすトレンドになったのだけれど、「唯一日本だけは横ばい、もしくは増えている」トレンドにあると、山田教授は指摘しているわけです。
それと、前述したように、「中国軍事費/世界2位/08年849億ドル、10年で3倍増」という状況になっていて、中国は軍拡を進めているのですが、「もとはといえば、日本の軍拡が口実になっている」ことが重大な問題だと山田教授は指摘しているのです。たとえば、上のグラフを見てください。1970年の日本の軍事費は5,695億円で、1980年は2兆2,302億円と、日本の軍事費は10年で3.9倍増にもなっています。今回の中国の軍事費3倍増よりもさらに上をいっているわけです。
加えて、日本はアメリカの「核の傘」のもとに、首都東京をはじめ全国各地に134の米軍基地が置かれ、その面積は東京23区の面積の1.6倍にも及び、4万人を超える米兵が駐留しているのです。(2008年8月現在)
ですから、山田教授は、「もとはといえば、日本の軍拡が口実になっている」と指摘しているのです。
(byノックオン)
1 ■あの・・
>上のグラフにあるように、「冷戦後」、つまりソ連が崩壊した1991年以降の日本の軍事費は、「横ばい、もしくは増えている」トレンドにあります。
お示しになられたグラフ、きちんとご覧になられていますか?日本は90年代以降、ずっと「軍縮」しているんですが・・
ここ数年の防衛予算の折衝でも防衛庁(現防衛省)と財務省が激しい争いを演じています。詳しくは以下のサイトをご参照下さい。
ttp://plaza.rakuten.co.jp/obiekt/010000
ttp://obiekt.seesaa.net/article/57349855.html
もちろん「このサイトは意見が偏っている」、「こんなもの信用出来ない」と言った意見もお有りでしょう。しかしそれを主張するならば具体的に記述しなければ、単なる悪口の域を出ないものになってしまいます。
私としては出来れば建設的な議論をしたいと思っていますので、お返事を期待しています。