長野県中小企業振興公社
更新:1999年3月
全国ネットでGIS拡販 |
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株式会社ジャステック | |||
松澤 正文 社長 |
●所 在 地=長野県飯田市鼎名古熊2539の1
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航空測量や建設コンサルタント事業を手掛けるジャステックは、パソコン画面に表示したデジタル地図から必要な情報を呼び出す地理情報システム(GIS)部門を強化している。各種アプリケーションソフトを開発して、自治体などの需要に対応すると同時に、GISアプリケーションの拡販を目指して県外の測量設計会社をネットワーク化して全国展開している。今後とも展望の明るいデジタル地図の市場を深耕していく構えだ。 |
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元々東京の広告代理店で商業写真のカメラマンだった経験を生かして、地元にUターンした松澤社長が1978年に前身の「信濃写真工房」を創業した。まずマイクロフィルム作成から手掛け、工業用写真、写真製版・製図・地図調整などの業務に拡大していったが、ほとんどが測量会社からの受託業務。「写真加工の下請けでは面白くない」(松澤社長)と、測量技師を採用したのを機に創業6年目で測量業登録を取得した。当時県内でも少なかった航空測量分野に進出、大手航空測量会社から受託しながら技術を取得していった。 |
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◆創業以来、新しい事業に挑戦 | |||
その後、航空測量や土木建築設計技術による本格的な営業活動を始めたところ、県内の各市町村および長野県などの2500分の1の国土基本図(航空測量写真図)や道路・公園・下水道などの土木設計で一気に売り上げがアップした。89年にラジコンヘリを導入して埋蔵文化財調査のための航空計測・解析分野に進出するなど、「創業以来、常に新しい事業に挑戦してきた」と松澤社長は振り返る。 |
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◆自治体サポートがGIS事業のきっかけ | |||
パソコンを駆使してのデジタル地図の作成 |
91年ごろから県内の各市町村から固定資産税の基礎調査が発注されるようになり、同社では飯田市を皮切りに26町村から基礎調査を受注した。自治体のサポートを通じて、土地や家屋の現況地図を解析し評価などを活用する必要性が生じたのを契機に、デジタル化した地図から様々なデータを呼び出す地理情報システム(GIS)の開発に本格的に着手した。その数年前から、基本ソフト(OS)の「MS−DOS」による地図デジタル化のソフトを開発し、測量や設計部門で自動製図化(CAD)を進めていた。その後、93年にパソコンベースの「MS−DOS」対応のGISを完成させたが、既にOSの主流がウィンドウズに移行していたことから、その技術を継承する形でウィンドウズ対応GIS(入力システムとアプリケーションソフト)の発売にこぎつけたのが95年春。これが同社のGIS事業の本格的な始まりとなった。 |
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◆全国のネットワークでGIS拡販 | |||
94年には北海道町村会情報センターに自治体向けGISアプリケーションソフトが採用され、翌95年から正式に同センターに人材を派遣し、北海道の自治体向けGIS開発やサポートに着手した。ウィンドウズ上で動く自治体向けGISアプリケーション「AXISシリーズ」は、固定資産税情報管理や農用地情報管理、上下水道情報管理など10数本用意されており、自治体の要望に合わせてデータを入力したソフトを販売している。また全国に向けてGISアプリケーション「AXIS」の拡販を目指すため、測量設計会社に呼び掛けて98年にパートナーシップ制の「アクシス・パートナー・フォーラム」(APF)を組織化した。現在、全国で32社がネットワーク化して、「AXIS」の販売を展開しており、既に40以上の実績がある。同社のGIS事業は、96年7月期に7千万円だったのが、97年7月期に2億円、98年7月期に4億5千万円と倍々ゲームで伸びている。 |
全国に情報発進する飯田市のジャステック本社 |
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◆GIS事業の伸長で株式公開へ | |||
同社へ98年7月期で売上高が12億5千万円。うち8億円が建設コンサルタント事業で依然として主力になっているが、今後は抑制される見通し。このため「2、3年後までに売り上げを20億円、従業貝160人体制にして、GIS事業とコンサル事業の売り上げを半々にもっていく」(松澤社長)のが大きな目標。「20億円規模になったら株式の店頭公開を考えていく」としている。今後インターネットやイントラネットを使ったGIS事業に力を入れていくとともに、全国3,300市町村のうち30%を自治体向けGISにしていく方針だ。それには「経営、技術面において全員主役で責任を果たしていく」ことが重要と松澤社長は強調している。 |
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