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東名崩落「昼間なら…」　深い爪痕、県民に衝撃

08/12 08:48

　日本の大動脈があっさり寸断された―。１１日早朝、県内で最大震度６弱を観測した駿河湾の地震で、相良牧之原ＩＣ（インターチェンジ）の東約５キロで東名高速道路の一部が崩落した。静岡－袋井間などが通行止めになり、物流や市民の生活はまひ状態に陥った。東海地震と比べてエネルギーは１００分の１以下とされる今回の地震。それでも数々の深い爪痕（つめあと）を残し、多くの県民に衝撃を与えた。
　牧之原市の牧之原ＳＡ（サービスエリア）付近上空をヘリで飛ぶと、赤茶けた巨大な口を開けている崩落地点が目に飛び込んできた。上り線のガードレールは水あめのように垂れ下がり、路肩と走行車線のアスファルトは板チョコのように粉々に割れ落ちていた。高速道路上には４０台ほどの車両や重機が並び、関係者約６０人が慌ただしく復旧作業に追われていた。
　巨大なクレーン車が、長さ１０数メートルほどのＨ鋼３０本を手際よく打ち込んでいく。傍らには照明車も控えていた。中日本高速道路によると、１時間でも早く開通させるため、徹夜で工事を行うという。
　追い越し車線や少し離れた下り線にも、１０数メートルほどの割れ目が複数確認できた。地震が起きたのがもっと交通量が多い昼間なら、大事故につながっていたかもしれない。上空から見る限り、周辺に土砂が崩れているような被害はなかった。にもかかわらず「なぜ、この場所だけが…」という疑問が残った。
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　帰宅ラッシュ前から、国道１号など一般道の渋滞は激しさを増す一方。静岡ＩＣで行き場を失った車が次々一般道にあふれ、静岡市から菊川市付近までの交通は一部でまひした。いつものように国道１号を利用し、静岡市駿河区の事務所から帰路に就いていた民間非営利団体（ＮＰＯ）幹部の山崎道生さん（６９）＝藤枝市＝も渋滞に巻き込まれた。「普段は４０分ほどで帰宅できるのに。今日は１時間たっても半分にも達していない」と、いら立ちを抑え切れない。仕事で市内を運転する機会も多いが、「１２日も渋滞になれば、仕事にならない。高速道路が寸断されただけで、これほど生活に影響が及ぶとは」と苦り切る。
　東名高速を利用した旅行を計画している人も多い。鈴木和喜さん（７０）＝静岡市葵区＝には孫３人と岐阜県に日帰りで遊びに行く計画がある。「全面復旧しなければ、朝早く出るつもりだが、帰りはどうすればいいか。せっかくの夏休みなので決行する。時間を気にしないで帰るしかない」と心配そうに話した。
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　「競りに荷が集まらない可能性もあり大打撃。道路が渋滞すれば鮮度も落ちてしまう」。浜松中央卸売市場内の水産卸会社「浜松魚市」の宮地一郎副社長が頭を抱える。
　運送会社からは、集荷を２時間早めたが、それでも出荷は遅れそうだと連絡を受けた。納品が遅れる上、集荷の締め切りが早まった。その分、市場に集まる荷は少なくなる。お盆の時期で需要の多いウニや生マグロの品薄も懸念される。「手も足も出ない状況で消費者に申し訳ない」と嘆いた。
　県内スーパー各社は、商品配送の遅延に備え、対応に追われている。神奈川県内の物流センターから各店舗へ商品を配送しているコープしずおかは、静岡市以西の地区で店舗への配送や宅配の遅れが出るとみて、出荷時間を早めるなど、今後の対応を検討している。
　県トラック協会の関功専務は「物流の要が不通になるのは、業界にとって大きな痛手」と話し、「夏季休業中の製造各社が、盆明けに生産を再開すれば出荷量も増える。物流への影響はさらに増大する」と不安視している。

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重機と作業員が集結し急ピッチで復旧作業が行われる東名高速の崩落現場＝１１日午後４時４５分、牧之原市静谷（本社ヘリ「ジェリコ１号」から）

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