こどもアサヒ

よく飛ぶ紙飛行機 コツを伝授

 

「ウイングマスター」を持つ戸田拓夫さん
  たった1枚の紙で折れる紙飛行機。作るのは簡単だけど、思い通りに飛ばないと感じている人はいませんか? 紙飛行機の室内滞空時間(室内で飛び続けた時間)の世界記録(27秒9)を持つ、日本折り紙ヒコーキ協会会長の戸田拓夫さんに、よく飛ぶ折り方やうまく飛ばすコツを教わりました。

A4コピー用紙でチャレンジ

 折り方を考えた紙飛行機は「700種類以上」という戸田さん。その中から、手軽に折れて工夫もできる「ウイングマスター」を紹介します。

 用意するものは、A4サイズのコピー用紙だけ。間違った折り目をつけないように注意して、正しく、きっちりと折っていきましょう。

 紙飛行機をよく飛ばすためのコツなどを戸田さんに聞きました。

 

 ――紙はどういうものがいいですか。
 きっちり折れて、もどりにくい紙がいいでしょう。小さい紙で折ると、よく飛ぶものの、つばさも小さいので、滞空時間は短くなります。大きい紙で折れば、つばさも大きくできますが、機体を支えきれないことがあります。

 ――おすすめの紙は?
 身近にあるものでは、A4サイズのコピー用紙をすすめています。新聞紙や折り込み広告、ふつうの折り紙など、さまざまな大きさや質の紙で折って、ちがいを試してみるのがいいでしょう。

 ――つばさの形によって、飛び方に違いはありますか。
 つばさの幅が広いタイプは長時間、一方、細くて長いタイプは風の抵抗が少なく、スピードや長い距離が期待できます。

 ――飛ぶ仕組みは?
 紙飛行機が前に進むと、空気はつばさの上下に分かれて流れます。このとき、風向きに対してつばさにやや上向きの角度がつくと、上に流れる空気の圧力が下を流れる空気の圧力より低くなり、つばさを下から上に持ち上げる力が働きます。この力を「揚力」といい、空中に浮かばせる力になっています。

 ――工夫の仕方は?
 正しく折ってもうまく飛ばない場合は、両つばさの後ろを5ミリほど上に起こし、昇降舵をつけます。昇降舵をうまく調整すれば、バランスよく飛びますよ。

「昇降舵」の調整がポイント
つばさの後ろを約5ミリ上に起こしてみて

 ――昇降舵がどうしてバランスをとってくれるの?
 紙飛行機に大切なのは、重心の位置。後ろにあると前が持ち上がりやすく、宙返りするようにそってしまいます。まっすぐ飛ばすには、先端部分を折り重ねるなどして、重心を前の方に置く。すぐ落ちてしまいそうですが、ここで活躍するのが昇降舵です。
 昇降舵は、後ろのつばさを下におす力が働き、前を持ち上げます。さらに、さっき紹介したやや上向きの角度がつき、調整すれば安定して飛びます。

 工夫を重ね、何度も挑戦することが、よく飛ぶ紙飛行機を作る近道です。同協会のウェブサイト(www.oriplane.com/)にある、他の折り方なども参考にして、あなただけの紙飛行機を作ってみましょう。


朝日小学生新聞 2009年8月14日付


朝日学生新聞社のホームページに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
すべての著作権は朝日学生新聞社に帰属します