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ATM、携帯「圏外」に 愛知県警、特殊フィルムで実験

2009年8月12日19時34分

 現金自動出入機(ATM)コーナーを「圏外」にできるか――。携帯電話で犯人の指示を受けながらの「振り込め詐欺」被害が後を絶たないことから、ATMコーナーの壁やガラス一面に特殊なフィルムを張り付けて、電波を遮断する実験を愛知県警が今月から始める。全国初の試み。効果が実証されれば、各金融機関に導入を働きかける。

 コーナーに張り付けるのは、金属膜などを何層にも重ねた無色透明のフィルム。東京の大手化学メーカーが開発した。製品自体は90%以上の電波遮蔽(しゃへい)効果があるとされ、無線LANを使う民間企業などですでに導入されている。フィルムの価格は1平方メートル当たり1万円余。

 事業費約40万円は、県内企業などがつくる防犯団体が負担した。実験は名古屋銀行の協力を得て、名古屋市内のATMコーナー1カ所にフィルムを張り、地域安全対策課の捜査員らが今月19日から1カ月間、携帯電話の機種、天候や時間帯といった環境に応じた遮断効果を調べる。

 同課によると、2〜7月に振り込め詐欺被害に遭った約200人に対する県警の聞き取り調査では、ATMから金を振り込んだのは半数を超えていた。犯人からATMに誘導され、携帯電話で送金の操作を指示されたケースもあったという。

 同様の趣旨の取り組みでは、千葉銀行が昨年、微弱な電波を出して携帯電話を圏外にする装置を導入した。1台約100万円と高価なうえ、無線局の許可を得なければならず、普及には至っていないという。同課の担当者は「効果が実証できればコストも下げられるはず」と期待する。

 全国銀行協会は08年、ATMから2メートル以内で携帯電話を使わないよう呼びかけるポスターを作製。加盟銀行の店内などに張り、利用客に注意を促している。(小林恵士)

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