達人のテクニック
2008年 11月 26日

三浦 展激白!なぜ下流おじさんほど、『デブ』になるのか

「ジリ貧父さん」の教訓

アメリカでは低所得層ほど肥満が多いといわれるが、日本でも体形を見れば階層がわかる「体格格差社会」になりつつある。

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下流の人たちは準備や段取りが苦手

先日私は、ワーキングプアの若者代表として人気の作家、雨宮処凜と話す機会があり、そのとき何気なくこう言った。

「雨宮さんのまわりにいるようなお金がない人たちは、ハンバーガーとかカップラーメンばかり食べてないで、ジャガイモとかキャベツを茹でて食べればいいんじゃないの?」

『下流は太る!こんな暮らしがデブの素』(扶桑社)(写真左)『富裕層の財布 誰も知らないお金の使い方』(写真中)『日本溶解論 この国の若者たち』(<a target="_blank" href="http://www.president.co.jp/book/item/317/4433/">&gt;&gt;プレジデント社</a>)(写真右)など、三浦展氏は数々の&ldquo;格差&rdquo;に関する提言や執筆などを精力的に行っている。
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『下流は太る!こんな暮らしがデブの素』(扶桑社)(写真左)『富裕層の財布 誰も知らないお金の使い方』(写真中)『日本溶解論 この国の若者たち』(>>プレジデント社)(写真右)など、三浦展氏は数々の“格差”に関する提言や執筆などを精力的に行っている。

すると、「ああいう人たちは、ガスの火をつけたことがないんです」と言う。これには絶句した。つまり親が基本的な生活能力を教えていないのだ。子どもの教育に熱心な親は、勉強もさせるが、一方で体力づくりや食育にも熱心だ。しかし子どもに無関心な親は、子どもがゲーム漬けだろうとスナック菓子を食べすぎだろうと、どうでもいい。さらにひどい親になると、レトルトカレーを温めないでそのまま食べたりしているという。このような環境に育てば、食に関する知識も興味もなくなって当然だ。

したがって、育ち盛りの子どもがいるのに、「最近、手作りの料理が食卓に並ばなくなったな」という家庭は要注意である。母親ができないなら、父親が台所に立って料理のイロハを実践してみせる必要があるだろう。

私自身、毎朝必ず家族のために朝食を作っている。もっとも、ごはんと味噌汁、プラス1品程度だが……。それでも、自宅で素材から料理を作るということは、大げさに言えば下流に転落することを防ぐ、あるいは下流から脱出するための「階級闘争」の手段なのである。

実際、冷蔵庫にある材料で手早くおいしいものを作ろうと思ったら、計画性や応用力が必要だ。これは仕事も同じだろう。限られた時間や予算のなかで、ある程度の結果を出さねばならないのだから。

しかし下流の人たちは、この種のちょっとした準備や段取りをするのが苦手だ。

以前、私のところに「下流3人組」のようなアルバイト学生が来ていた。彼らは美大生で、パソコンを使ってデザインをするからCD-ROMを大量に使う。 私なら残り2~3枚になったところで20枚パックを買い足すけれど、彼らは最後の1枚がなくなるまで、補充するという発想がない。結局、夜中にドン・キホーテまでタクシーを飛ばすようなことをしているのだ。つまり、目的合理的に「こうなったら、ああなる」と予測して行動することができないのである。

下流が太る原因のもうひとつは、知識の欠如だ。

たとえば食品パッケージの裏に印刷してある成分表やカロリー表示を読んだことのある人は少ないのではないか。たとえ下流といえども、「こういうものは体に悪い」という認識があれば、食べるのを控えるかもしれない。しかしそれを阻むのがテレビだ。彼らは民放テレビをよく見ているが、テレビ局にとって食品会社は大事なスポンサーのひとつだから、あまり都合の悪い情報は流さない。その代わり、食欲を刺激するようなコマーシャルを四六時ちゅう流している。

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