達人のテクニック
2008年 11月 26日

三浦 展激白!なぜ下流おじさんほど、『デブ』になるのか

「ジリ貧父さん」の教訓

アメリカでは低所得層ほど肥満が多いといわれるが、日本でも体形を見れば階層がわかる「体格格差社会」になりつつある。

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アメリカでは低所得層ほど肥満が多いといわれるが、日本でも体形を見れば階層がわかる「体格格差社会」になりつつある。デブと下流の危険な相関関係を『下流社会』の著者が警告する。

上流と下流では、下流に属する人ほど太っている。身もフタもないことを言うようだが、まぎれもない事実である。

私は2年前、20歳から44歳の男性に、生活水準とBMI(体格指数)の関係について調査を行った(※)。

BMIとは、体重(キロ)÷身長(メートル)の二乗で求められる肥満度の指標で、25以上は太りすぎである。そしてその調査結果によると、生活水準が「上」であると答えた人のうちBMI25以上の人の割合は14.7%だったのに対し、生活水準が「下」の人では、27.2%がBMI25以上だったのである。

貧乏人はガリガリで、金持ちは太っているという図式は、もはや完全に過去のものとなった。いまや上流ほどスマートで、下流はデブというパターンが定着しつつある。アメリカでは以前から、「低所得層ほど肥満が多い」のは常識だった。そしてついに日本も、体形を見れば階層がわかるという「体格格差社会」に突入しつつあるのである。ではなぜ、下流に肥満が多いのか。原因のひとつには、やはり「意欲」の問題があるだろう。

私がつねづね指摘しているように、下流は人生全般に対する意欲が薄い。働いたり、勉強したり、結婚したりするエネルギーに乏しい。簡単に言えば、「下流は面倒くさがり」なのだ。だからこまめに体を動かしたり、自分で買い物をして、素材から料理したりすることを嫌う。したがって、ハイカロリーなわりに栄養価の低いファストフードや、コンビニ食ばかり食べる。面倒くささが高じると、食卓で箸を使うことすら億劫になり、パソコンや携帯を操作しながら片手でパンやおにぎりをかじる。しかしこれはまだいいほうで、お菓子の類を食事代わりにすることも珍しくない。当然、こんなものでは満腹感が得られない。そこで必然的に間食が増える。そしてますます太っていくという悪循環なのだ。

しかし太ったところで、彼らに「なんとかしなきゃ」という危機感は薄い。つまりダイエットをするのも面倒くさい。それでますます太るというわけだ。

ある看護師さんの話によると、「下流の患者ほど病気になっても治そうとしない」という。健康は、よりよい人生を送るための基本である。ところがその意識が低いということは、極端に言えば、「別にいつ死んだってかまわない」という投げやりな気持ちが潜んでいるとも考えられる。もしそうだとしたら、彼らにとって、標準体重をオーバーするくらいのことは、たいした問題ではないのだろう。

※「男性仕事・生活調査」
 調査主体:(株)カルチャースタディーズ研究所、(株)イー・ファルコン
 調査実施:(株)ネットマイル (『下流は太る!』(扶桑社)より)

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