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羽田・那覇…国管理22空港が赤字 黒字は4空港のみ

2009年7月31日3時3分

図:  拡大  

 国が管理する全国26空港について、税金投入を除いた営業損益では約8割の22空港が赤字に陥っていることが国土交通省の調べで分かった。同省がすべての空港別の収支を集計したのは初めて。ほとんどの空港が独立採算ではやっていけない実態が浮き彫りになった。31日に公表する。

 国が管理する空港の収支は社会資本整備事業特別会計で一括管理しており、空港ごとの実質の収支が不透明との指摘があった。このため政府は「骨太の方針08」で透明性の高い空港別収支をつくる方針を示していた。

 国交省は、企業会計に近い手法で収支を試算。一般財源や航空機燃料税、自治体の負担金を投入する前の営業損益ベース(06年度)で22空港が赤字となった。

 営業赤字が大きいのは福岡の67億円、那覇の54億円、新潟の23億円、羽田の20億円。福岡と那覇は空港用地の賃借料が響いた。新潟は2本ある滑走路など資産の減価償却費がかさみ、着陸料等収入の4倍の営業赤字となった。羽田は滑走路拡張工事に伴う整備費負担などがのしかかった。新千歳を除く北海道の空港や、福岡に近い北九州空港も赤字額が目立った。

 営業黒字は大阪(伊丹)の43億円、新千歳の16億円、鹿児島の2億円、熊本の2億円弱だけ。

 税財源を収入に含む経常損益だと営業赤字22空港のうち10空港が黒字に転じる。

 株式会社が管理する成田、関西、中部の3空港は今回の試算の対象外。国交省は、自治体が管理する69空港についても同様の手法で収支を試算し、開示するよう自治体に要請する。国管理より人口の少ない地域に多く、赤字空港はさらに増えそうだ。

 地方空港は増え続けているが、国内線利用客数は伸び悩んでおり、航空会社が不採算路線から撤退する動きも相次いでいる。これまでは空港の必要性を議論するための前提となる収支すら明らかになっていなかった。今回、空港ごとの税金への依存度が判明したことで、「野放図」との指摘もある空港整備のあり方をめぐる議論が深まりそうだ。(山本精作)

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