札幌・大通公園の「さっぽろテレビ塔」(高さ147.2メートル)を運営する札幌市の第三セクター「北海道観光事業」(高山裕史社長)が、高さ650メートルの超高層タワービルの建設構想を断念したことが分かった。売り上げの低迷に加え、社員による相次ぐ着服が重なり、同社は「資金的なめどが立たない」としている。
超高層タワービルは、現在のテレビ塔の場所に、タワーとビルを組み合わせて建設する構想で、道内で最も高い建物になる予定だった。総事業費は約650億円を想定し、06年に大手ゼネコンや金融機関などとともに検討会を設置。07年6月には社内に「新タワー準備室」を作りスタッフ2人を常駐させた。
しかし、今年4月と7月に、同社の旅行部門に所属していた社員ら計4人による計1億750万円の着服が相次いで発覚した。5日の取締役会で建設断念を決めた。同社の小林正人事業本部長は「不祥事と業績不振で売り上げの悪化が見込まれている。足元を固めて経営資源を本業につぎこまなければならない」と話している。【仲田力行】
毎日新聞 2009年8月7日 22時33分