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中国:暴動から1カ月…政府とウイグル側、見解に食い違い

暴動で焼き打ちされたスーパーなどが入ったビルの再建が始まっていた=中国・ウルムチで2009年8月2日、鈴木玲子撮影
暴動で焼き打ちされたスーパーなどが入ったビルの再建が始まっていた=中国・ウルムチで2009年8月2日、鈴木玲子撮影

 【ウルムチ(中国新疆<しんきょう>ウイグル自治区)鈴木玲子】ウルムチの大規模暴動から5日で1カ月。改めて現場をたどると、ウイグル族による漢族への抗議デモが瞬く間に膨らみ、暴徒と化した一部群衆の焼き打ちなどに発展、警官隊の発砲につながった様子が浮かび上がった。ただ、計画的な暴動だったと断じる政府に対し、ウイグル側は警官隊の過剰反応を非難するなど見解の隔たりは大きく、真相の解明には至っていない。

 先月5日夕、ウルムチ市中心部の人民広場にウイグル族が集まり始めた。近くの店員は「6時過ぎには300人以上いた。『ウイグル! ウイグル!』と気勢を上げていた」と話す。学生中心のデモ隊は次第に増え、武装警察も増員。目撃した女性は「一部が警官隊に投石した」と話す。

 デモは、広東省韶関(しょうかん)で6月下旬に起きたウイグル族と漢族の乱闘でウイグル族2人が死亡した事件への抗議。広場に集まった群衆は、中山路、人民路などを経て南の和平南路、解放南路、新華南路などに移動したとみられる。周辺はウイグル族居住区で、通りは群衆で埋まった。

 観光スポット「国際大バザール」は夜7時ごろ、区政府から営業中止を通知された。8時半ごろには、近くの二道橋などで一部の群衆が道路の柵などをなぎ倒し、車両を壊し始めたという。

 夜9時前後、事態はさらに悪化。バスや車両が焼かれ、タクシー運転手は「橋の上から人が突き落とされていた」と証言する。漢族らの商店などへの焼き打ちも起きた。和平南路や解放南路では、暴徒と化した群衆に警官らが発砲したとみられる。二道橋でも警官隊が発砲した。

 当局はウイグル族12人を射殺したことを明らかにし、「威嚇発砲が無視されたため」と釈明する。だが、亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長は「平和的な抗議活動が暴徒化したのは、出動した治安部隊のせい」と指摘する。

 当局によると暴動現場は市内50カ所以上で、死者数は197人。4日の北京放送によると、市人民検察院は殺人や放火などの容疑で83人を正式に逮捕したと発表した。逮捕者には漢族とウイグル族が含まれるが、内訳は明らかにされていない。世界ウイグル会議は死者数を「1000人から最大3000人」と見ている。

 地元関係者によると、中国政府は同議長がウルムチで建設した「ラビアビル」の撤去を計画している。同議長を暴動の黒幕と主張する当局は先月、設備不備などを理由にビルの取り壊しを決定した。カーディル議長の痕跡を消すことで、影響力の弱体化を狙ったものと見られる。

毎日新聞 2009年8月4日 21時31分(最終更新 8月5日 0時51分)

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