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自民・民主の公約、バラマキに苦言 民間9団体が検証

2009年8月9日22時33分

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 各党の衆院選マニフェスト(政権公約)が出そろったのを受けて、民間のシンクタンクなど9団体が9日、自民、民主両党のマニフェスト評価を発表した。「継続」の自民か「変化」の民主か、という対立軸が際立つ一方、ばらまきの色合いが強まる傾向には辛口の意見が続き、公約の作り直しを求める声も出た。双方の弱点も浮き彫りにされ、公約をめぐる両党の舌戦はさらに熱を帯びてきそうだ。

 学者や経済人らでつくる「新しい日本を作る国民会議」(21世紀臨調)が主催した公約検証大会で、9団体が参加。自民、民主両党のマニフェストを採点し、総合評価では3団体が自民優位、4団体が民主優位だとし、2団体は同点とした。

 自民党の公約は「現状に変更を加える保守の姿勢」(PHP総研)と評された一方、民主党の公約には「政権交代後の姿を現実的に示していこうという姿がうかがえる」(構想日本)などの意見が出た。数値目標をより明確に示したとして民主党への「期待値」が高まる一方、政策の実現性については自民党の「安定感」に評価が集まった。

 ただ、数値目標が焦点になることには「約束にこだわることで『ばらまきリスト』に変わってしまう」(言論NPOの工藤泰志代表)との問題点も浮上した。昨年9月の自民党総裁選や今年5月の民主党代表選での訴えが十分に反映されていないことから、工藤氏は「約束に信頼を持てないことは極めて深刻。時間があるのでマニフェストを作り直してほしい」と訴えた。

 個別の政策では、外交・安全保障で民主党に対し、「包括する理念が提示されていない」(経済同友会)などの苦言が続出。さらに、経済政策でも民主党は「成長戦略を提示していない」(日本総研)という批判もあった。

 逆に政権運営ビジョンでは民主党が全団体から高い評価を受けた。自民党は「首相が次々と代わってしっかりした政権運営が必要なのに、ビジョンが重視されていない」(PHP総研)と指摘されるなど、旗色が悪かった。

 こうした状況は、すでに始まっている総選挙に向けた戦いにも投影されている。

 麻生首相は8日の東京都内での街頭演説で「経済成長戦略を持たない民主党に経済政策をやれるはずがない」「党内の意見集約もできない政党に日本の安全を任せるわけにはいかない」と強調。民主党の経済政策と外交・安保に批判の矛先を向ける。

 これに対し、民主党の岡田克也幹事長は9日の福岡市内の街頭演説で「自民党は幼児教育の無償化を掲げるが、4年前(のマニフェスト)にも同じことが書いてあった。4年間できなかったことが、どうしてこれからできるのか」と、自民党の政策の実現能力に疑問符を突きつけた。

    ◇

■マニフェスト評価9団体

 【経済同友会】企業経営者が個人参加する経済団体

 【連合】日本最大の労働組合団体。民主党と友好関係

 【日本青年会議所】若手経営者らによる社団法人

 【PHP総研】故・松下幸之助氏が創設したPHP研究所のシンクタンク

 【言論NPO】北川正恭・元三重県知事らが参加する非営利法人

 【日本総研】三井住友系のシンクタンク

 【構想日本】無駄削減のための「事業仕分け」などを提唱するシンクタンク

 【チーム・ポリシーウォッチ】竹中平蔵元経済財政相など「小泉改革」ブレーンらで構成する専門家集団

 【全国知事会】都道府県の知事でつくる組織

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